転生した奴らに職を奪われ困ってます!

山お

第1話 転生禁止法

ここ私たちの世界とはまた別の世界。いわゆる異世界である。そんな世界で今、大きな問題が起きていたのだ。

ここ最近、異世界に転生してくる者がいる。ただそれだけならば、問題はないのだ。

タチの悪いことにそいつらは、特別な力、転生者が言うにはチート能力というらしいものを身につけてやってくる。そのせいで、モンスター退治は一瞬で終わり、魔王軍は降参宣言をしてしまった。

とてもいいことのように思えあるが、そんなことはない!

転生者達にクエストは独占され、もとの住人たちは職を失ってしまったのだ。異世界に大きな貧富の差が生まれ、魔王軍に支配されていた時よりも生活は苦しくなった。

困り果てた住民達は新たな法を作成した。

〈転生禁止法〉である。転生者には人権は与えられず、モンスターと同じ扱いをするという趣旨のものだった。ただ転生者はとても強いのだ。普通の勇者や剣士など太刀打ち出来ない。

それによって作られたのが、〈対転生者部隊〉である。この部隊は二種類に分かれており、転生ゲート捜索班と、対転生者戦闘部隊である。捜索班は転生される時に起こる微細な変化を感知し、事前に転生される場所を把握する任務である。場所が特定されると、戦闘部隊が出向き、転生者をモンスターとして駆除する。

戦闘部隊は冒険者達とは違い、特殊訓練を受け、転生者に対抗する能力を身につける。転生者の多くは、能力は強いが、基礎的な身体能力は低く、そのチート能力さえ、封じてしまえば、簡単に倒すことができた。その為に戦闘部隊は、武器の効果無効や、魔法攻撃無効など、自分を高めるのではなく、転生者と単純な身体能力の勝負に持ち込めるような能力を身につけている。


この法律が可決されてより、以前から異世界に転生していた者達や、新たに転生されてくる者達は、全てすぐさま排除された。

異世界は次第に魔王が支配していた暗い時代を取り戻し、モンスターと転生者を狩ることで暮らしていくのでした。


めでたしめでたし!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転生した奴らに職を奪われ困ってます! 山お @kumahiroto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ