婚活狂騒曲

愛川耀

序章

「結婚なんてしなくていい、自由を謳歌おうかしたい!」


 なんて言っているあなた、ひょっとして、「ソロ(おひとり様!)崇拝」のメディアにのせられていませんか? 結婚している友人はみんな亭主の愚痴ぐちばかりだし、周りを見渡すと離婚した友達(の友達?)も多いみたいだから、わざわざ結婚なんてする必要を感じない、とか。


 好きなことをして生きたい、誰にも束縛されたくない、という自立心は大いに結構ですが、或るベストセラー作家が書いているように、幸せとは他人貢献、すなわち自分のためだけでなく誰かのために生きること。その誰かを見つけて家族になるのも人生に於いて楽しい選択です。


 結婚しなくても愛があればいい、と宣言しているあなた、本心では選んでもらえていないことに焦燥を憶えていませんか? 男達は一人の女性になかなかコミットしない生き物です。彼らにプロポーズさせるより恋人関係をだらだら続ける方がラクではありますが、人生は一度切り、やはり「この人と一生を終えたい」と思いたい、思われたいものです。


 結婚したいけれど相手がいないので、とりあえず自由を謳歌しているあなた、心の片隅では、来る(!)孤独死も気になるところですよね。いつか結婚したいけれど、とりあえずまだ一人でいい、とポーズを取っているうちに、結婚してやってもいいかな、と思える男達は、実はどんどん結婚して市場から消えているのです!

 

 お話は数年前に遡ります。東日本大震災が起きた際には、大袈裟おおげさに言えば日本中の独身女性が結婚に走ったものです。一人で死ぬ人生なんてやっぱり淋しい! と皆が婚活(しているらしく)、物語の主人公、寺内さくらもその狂騒を察知、婚活レースに果敢かかんに(?)参加しました。何事も傍観者でなく参加者になることにより、自分が真に望んでいるものが見えてきます。これは、幸せをつかむために本気で努力する女性(男性)にエールを送る物語です。

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