魔法へ こい願わくは――

凪常サツキ

■剣と杖 交わりの先には

0.0 始まりの記憶

 

 この画面は、荒野。黒の巫女の館よね……。え、館が襲われている!?

でも、何故。彼女はオグを司る巫女、倒したところで利益は無いはず。それに、どうして魔の秩序を保つ私達、”大女神ムラウルの代理人”に勝てると思ったのかしら……。

 

 いや待って。あの男の魔法、闇のようだけど、所々に青白い光……。もしかして! 



 いけない。この戦い、彼女にとってあまりにも分が悪い。あのままだと、最悪の場合は次世代への転生……。


「快適な魔法の暮らしは、俺が貰う!」


 今の時代、どうして第五の属性を知っている人間がいるというの? 大精霊の仕業だとしたら、相当厄介なことになる……。

 

――――

―――

――


 彼女が見たのは、悪の躍動。

 男が使うは、不知の魔術。

 それはつまり、“二人”の出会いの根源。

 映像は、たった一つの憎悪で世界を変えんとする男と、彼に対峙した者が共有した最後の記憶であった。

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