第21話 枕を濡らす。

(19話20話は番外編として分割しました、【赤鬼娘-遊園地紹介編】良かったら読んでください。)


 青空遊園地紹介ブログの最後の行。


 カレーライスのお肉のところを一口


(はっ、な、なによこれ、なんでこんな中途半端で終わっちゃってるの)

 コピペの失敗でもして気が付かなかったのだろうか、忘れられない味ってくらいだからきっと美味しいのだろうけど、こんな終わり方無いでしょ、夢で口に入れた瞬間に目が覚めてしまったのと同じじゃない。


 もうこれは何としても青空遊園地へ行って青空牛カレーライスを食べなきゃ、収まらないわ、青空遊園地で決定!(ピーチ姫も気になる、遊園地紹介編参照)


 夜七時、家電話を前に固まる私、やっと受話器に片手を乗せまた固まる。

(電話かけなきゃ)

 分かっているが右手が出ない。


 うちの電話機はダイヤル式、お父さんが外国出張の時に買って来たものだ、インテリアとして買って来たらしいが、電話線をつなぐとちゃんと電話機として使えたのでそのまま使ってるそうだ。


 左手で受話器を持って右手をゆっくりダイヤルにかける、ゼロに指を置くが回そうと思っても指が動いてくれない。


「ふう」息をついで受話器を下すと「リリリリリーン」と鳴ったので、条件反射で受話器を取り「はい、あきぶです」誰だかわからないので普通に言えた。


「あおきです、こんばんは、ケガの方痛みませんか」


「あっあ、アオキさん、い、今掛けようとしていたんです、えっと、あのあっケガはもう大丈夫ですけど、もう何も手が付けられなくて、あっいえこっちの事です」


「えーとやっぱり具合でも悪いのですか」

「いえそんなことは、、、」

 ちょっと間が空いたので青鬼さんが

「あのどこかへ行くと言う話ですが今週都合が悪くなりそうで、とりあえず伝えておこうと思いまして、赤鬼舞あきぶさんも具合悪そうですし」

(いや具合は悪くないですけど、それにしても今日は話し方が固いような)


「あ、あの忙しいなら構わないです急ぐことじゃありませんから」

(構わないこと無いです、会えないと困ります、一週間も会えなかったら、、、)


「もしもし、どうかしました?」

「い、いええーとどうしようかな」

「予定が決まったらまた電話します、早く休んでくださいね、それじゃあ」

「えっえっとー」

「プープープー」


 (えっなに、どうして、)

 さっさと切られてしまった、何か気に障ること言っちゃったかな。。。


(えーどうしたらいいの)

 いい考えが浮かばない、部屋に戻りベットに座ってぼんやりしてたらそのまま眠ってしまっていた。


 目を覚ますと外が明るくなっていた。(わっ着替えもしてない)


  起き上がり顔を右手でこすると濡れている、なぜ?

 顔を埋めていた所を見ると結構濡れていた。(よだれがー)


 顔を触ると目の下が濡れている、泣いてたの私?


 悲しい夢を見ていた様な気もする、「さよなら」って。

 えっ、思い出しかけるとまたまた涙が噴き出してきた。


 何これ。泣く事ないでしょ。

 自分に言い聞かせても涙が止まらない。



 バシャバシャ顔を洗ってから二人分の朝食を作って(量からすると三人分)母の分を取り分け、残りは完食。


 学校へ行っても散々だった、一人でニコニコしたり、メソメソしたり、涙をたらーと流したり。

(ああ最悪)


 授業中でもサングラスを外せない私、それでも不気味がられて「キモ」「祟られてる」「悪霊退散」などヒソヒソ聞こえてくる。

(全くその通り)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る