第17話 八年前のクリスマス何してた?
「そっか、昔の面影が残ってないって、そういう事か、ドラキュラに生まれ変わったんだ」
床に座り直し妙に真面目な顔を作り一人納得顔で言う
「なるほど、理屈に合うね、でもまだ血を吸った事は無いの、
「お断り、あんたの場合血を吸うよりのどを噛み切り、お肉を食いちぎる
私は口を大きめに開け牙をアピール、目一杯開けないのはエイリアンにされないため。
(エイリアンに間違えられる自信大いに有り)
「そうしたいけどあなたお肉ついて無い、骨と皮だけじゃないの」
「あんたよりマシよ、ちゃーんと胸膨らんでるもの、ね、なおみ」
僅かに膨らんだ胸をそらしてドヤ顔。
(まあ私よりは膨らんでいるけど洗濯板の私と比べても誇れないでしょ)
「うん、プクプクしてる、ママと一緒、でもこの頃ママ触らせてくれないんだ」
「あんた達何やってるの、先が思いやられるわ」
「良いじゃない、スキンシップよ、私たち恋人同士なんだから」
またまたなおみを追いかけ始める彩光、まるで子犬たちのじゃれ合いだ。
「どう見ても
「んーとね、美味しいものが食べられて、この子が遊べるところ、百科事典くらいのステーキが食べたい」
百科事典より岩を抱えたポーズをする彩光。
「どれだけ食べるつもり、百科事典の大きさなんて食べれるの私位なものよ」
「それだけ食べても付くところに付かないんだ」
長いスカートを太ももの上まで捲り上げ、
「ちゃんと付いてます、太ももなんてあなたの胴より太いかもね」
「どこに付けてるの、そんなだから男子体型なんじゃない」
「男子はこんなにウエストは細くありません、今から胸を大きくしたってじゃまなだけよ」
普段はブラウスで判らないがブラウスを押さえるとぐっと絞まったウエストのラインが現れる。
彩光はそれを見ないふりで、
「今でも柔道、剣道娘なの?」
「空手もね」
「良くやるね、モテるのあきらめて男狩りでもするつもり」
「どうしてそんな事しなきゃならないの、私が跡継ぎなんだからいつまでも続けるわよ」
「へ?跡継ぎって、なに?何の事」
すっかり忘れている彩光、そもそも分かって無かったのか。
「だから道場を継ぐには私なの」
「えっ、えー道場ってどこに有ったの?」
「全く、化け物屋敷の隣に古い建物が有ったでしょ、同じくらいの大きさの」
「えっ有ったような、気にしてなかった」
なおみにちょっかいを出しながら。
「小さいとき柔道着着て遊んだでしょ、覚えてないの」
「あまり覚えてないあれいくつの時だった、遊びだったの、なぜこんな所で柔道やってるか訳が分からなかった、あの頃から客寄せやってたんだ」
爺臭い顔してうなずいている。
「二歳頃から保育所行く前まで、客寄せじゃなくて練習してたのミニは練習のつもりじゃなかったの」
「そう言われてもねえ、どうして道着着て道場に居たのかさっぱり思い出せない、そんな事が有ったとしか、とにかくもうほとんど覚えてない、あんた良く覚えてたわね」
私は人差し指で自分のおでこをつついて、
「ミニまだ気づいてなかったの、クラスの皆が私に文句を言わないのはそこなのよ、8年前の12月25日、道場でクリスマス会が有って来るって約束してたのに来なかった、一体何してたの、なんて言われたら勝ち目無いでしょ、ミニなら「忘れた」の一言で終わらせるかもしれないけど」
「はあ、八年前のクリスマスなんて覚えてるわけ無いでしょ、
エアーの鎌を振り回している。
「さすがに八年前は無理か、一年生の時の運動会は、ちょっと待ってね、、、へー50メートル走五人中四位じゃない、まだまだちっこくて可愛い」
「ちょ、なに、
今度は右から耳の上をつついて、
「記憶って言うより記録が残ってるの頭の中に、去年の
「はいはいはい、僕」
「残念でしたなおみは六月三十日、七月二日は六年三組の
「分かった、分かりました、ってこう言う事、そりゃあ歯が立たないわ、それで君は何しに来たの、ひとの恋路の邪魔をしに来たならさっさと帰ってよ」
シッシッと手を払う。
「がー、どこかに連れて行って貰うからどこがいいか聞きに来たの、もう」
「あーそうだった、だから美味しい物が食べられるところ、以上、帰った帰った」
「ったく、なおみに変な事教えるんじゃないわよ、美味しい物が食べられたら学校でもいいのね、勝手に決めちゃうから」
立ち上がりなおみに手を振る。
「うん、かまわない」
「うん、かわらない、ばいばい」
「なおみ、意味わかんないけど、魔法使いのおばあさんに気を付けなさい、怒りマーックスって叫べば、10秒間だけ魔女は動けないからその隙に逃げるのよ、じゃあまた明日」
「こら、あんたが余計な事教えてるんじゃない、今度からはなおみに触らせないからね」
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