悪意
笛吹きの少年がおりました。少年は村から村へ、楽しい音楽を届けて行きました。人々は少年の笛の音を聴いて、笑い、歌い、踊りました。
少年が村を訪れたある日にお婆さんが亡くなりました。悲しむ人々の耳に届いたのは少年の笛の音でした。
それ以来この村の人々は少年を畏れました。畏れは広がり、強まり、忌避へと変わりました。
何も変わらぬ少年の何も変わらぬ笛の音は楽しい音楽から呪いの音楽へと変わってしまったのでした。
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