機体解説 ver2.00

※イラストは小説家になろうの方で公開しています。


四八式重装機(計画名称:ジュト) 愛称:白虎


性能諸元

全高:5.85m 

全備重量:13t 

装甲:軽量型複合装甲 

動力:ムンドゥスバッテリー 

駆動方式:人工筋肉(プラスチック繊維)+油圧機構 

最高速度:80km/h 

最高跳躍高:6m 

最大作戦行動時間:120時間 

固定武装:一式十二・七粍固定機関砲改×1

前腕部兵装架×2(三四式車載重機関銃、五四式四〇粍自動擲弾銃、五〇式機兵短刀、牽引策砲)

背部兵装架×2(六七式七(十五)糎多連装噴進砲、可動式兵装架、六六式電動推進器)

基本携行火器:四八式二〇粍機関砲、四八式四七粍散弾砲、四八式九〇粍低圧砲、五五式七五粍狙撃砲、六六式大型機兵刀、三二式刺突地雷)


皇紀2648年に採用された四八式重装機を近代化改修した機体。四八式重装機は2640年のインドネシア紛争の際に鹵獲した豪州製小型重装機LAS6の設計を拡大・発展させたもので、日本初の密閉式操縦席を備え、動力源をバッテリーのみとした第三世代型の重装機である。配備当初は当時主力であったアリ型金属虫のみならず、豪州製のいかなる重装機に対しても優位な性能を誇っていたが、数年後に配備が開始されたHAS4 ジンガナに対しては運動性以外では見劣りし、また新たに出現したカマキリ型金属虫に対しても不利な戦いを強いられることが多くなった。そこで、皇国陸軍は新型重装機開発を開始、それと同時に四八式重装機の近代化改修に着手した。そもそも四八式重装機は初期型である一型で早々に電子装備の貧弱さが指摘されたことから、各種電子装備を装備した二型が主力となっていたが、二度目の改修となる三型開発計画では機体フレームの変更を伴う大改修を行い、抜本的に性能向上を図る甲案と、改修は最低限に止めあくまで新型機までのつなぎとする乙案が検討された。結果、コストの面から改修は最低限に止めることとなり、新型重装機に準じた兵装架の追加と、外部装甲の追加のみを行うことなった。しかし、陸軍の新防衛方針により機兵の大幅な増員が決定され、その訓練のため四八式重装機を訓練機として使用することや、全国の学生や地方守備隊など練度の低い部隊にも配備されることになったため、設計変更し操縦席の拡大と準憑依操縦装置や、訓練用の各種装置を搭載することとなった。そうして訓練機用または簡易操縦型として改修された機体は三型乙とされ、初期案は三型甲として区別された。三型乙は二型と比べ生存性や、新型機との兵装の共有が図られ利便性が向上している。しかし、その反面、多くの欠点も指摘されており、馬力が据え置きのまま装甲や兵装架の追加、操縦席の拡大を行ったため運動性が悪化していることや、準憑依操縦装置の導入のため操縦系統が複雑になり、かえって操縦が難しくなっていると言われる。それでも、比較的簡易な改修だったため平征29年現在では軍の保有している四八式重装機の約6割がこの三型乙仕様に改修が終了しており、後継機となる六六式重装機の配備が進むにつれ一線級部隊からは姿を消したが、後方の部隊や全国の重装機兵部では活躍を続けている。

 訓練機仕様は橙色の派手な塗装がされているるが、学校の校章や一部個所を任意の色に塗装することが認められている。


ジュト:四八式重装機の元となった試作機。性能試験で、脚部の馬力不足が指摘されたため、量産型では限定的に油圧機構を採用することとなった。生産数3機

四八式重装機一型(ジュトⅠ):初期生産型。すぐさま前線部隊への配備が開始され、従来機から格段の性能向上を果たした本機は、各戦線で高評価を得た。生産数100機

四八式重装機二型(ジュトⅡ):二型は一型が対金属虫戦では良好な戦績を示していたものの、配備から二年後のインドネシアでのクーデター事件の際、多数の機体が歩兵用誘導兵器に破壊・損傷を受けたことを踏まえ、電子装備等を拡充し間接防御力を高めたものである。二型は四八式重装機の最多生産機となり、既存の一型もほぼすべてが二型仕様に改修された。生産数5300機(改修機も含む)

四八式重装機三型甲(ジュトⅢ甲):三型改修計画の初期案。追加装甲と新型機と同規格の兵装架の増設のみを行う予定だったが、後に要求仕様が変更となったため試作機のみとなった。生産数1機

四八式重装機三型乙(ジュトⅢ乙):三型甲の仕様に追加して、より訓練機としての性格を強めた機体。操縦席が拡大され、準憑依操縦装置など各種訓練に適した装備・システムが導入された。現在多くの重装機兵部や2線級の部隊で運用されている。改修機数1900機

四八式重装機試製四型(ジュトⅣ):Ⅲ型改修計画の初期に検討されていた大規模改修案の一つを復活させたもの。三型乙をベースとしつつ、六六式重装機同様の頭部型複合センサーや指行性に適した脚部への変更を行っている。また三型乙で不満の多かった操縦系統を改め、完全憑依操縦が可能となっており、問題とされていた機体バランスも廉価版の炭素繊維製人工筋肉を追加で取り付けることによりある程度改善されている。改修にはなるべく民生品を活用しており、コスト削減に努められている。平征29年現在、高額な六六式重装機の補助戦力として前線にこの四型を一線級部隊に再配備する構想があり、性能試験もかねて一部の部隊や関東圏の重装機兵部に配備が進められている。改修機数30機



六六式重装機(計画名称:ジュリ) 愛称:月兎


性能諸元

全高(標準姿勢):6.2m 

全備重量:12t

装甲:軽量型複合装甲 

動力:ムンドゥスバッテリー 

駆動方式:人工筋肉(炭素繊維) 

最高速度:210km/h 

最高跳躍高:40m 

最大作戦行動時間:150時間 

固定武装:一式十二・七粍固定機関砲改×1

前腕部兵装架×2(三四式車載重機関銃、五四式四〇粍自動擲弾銃、五〇式機兵短刀、牽引策砲)

背部兵装架×4(六七式七(十五)糎多連装噴進砲、可動式兵装架、六六式電動推進器)、煙幕発生器×2、対飛翔体自動迎撃装置×1

基本携行火器:六四式三〇粍機関砲、六四式五十七粍散弾砲(長・短)、六七式一〇五粍低圧砲、六六式九〇粍狙撃砲、六六式大型機兵刀)


 六六式重装機は皇紀2666年に採用された六菱重工開発の第四世代重装機である。六六式重装機の特徴として豪州製の機体や、四八式重装機が純粋に人間に近い形状をしているのに対して、前傾の姿勢や異様に長い腕、指行性に適した脚部形状、姿勢制御のための尻尾など人型と言うよりも獣人型と呼べる形状をしている。その野性的な見た目に違わず、炭素繊維製の人工筋肉が生み出す強靭なパワーにより、驚異的な運動性能を会得しており、本来航空機用に開発された電動推進器との組み合わせにより、三次元的な戦闘が可能となっている。防御面も四八式重装機から強化されており、新型の複合装甲の採用と、操縦席を完全に装甲内に収めたことにより生存性が向上し、また対誘導弾用の自動迎撃装置を装備したため、直接・間接防御力がともに大きく向上している。操縦面ではこれまでの直接目で見るキャノピー式から、網膜投影に変更しており、憑依操縦装置を導入したことにより、操縦者はまるで自分の体を動かすような感覚で、操縦が可能となっている。制式採用後、一線級の部隊から優先して配備が進められており、新型の金属虫との戦いでは欠かすことのできない重要な戦力となっている。豪州製の機体に対しては圧倒的優位な性能が確保され、近年頻発している武力衝突でもその性能を遺憾なく発揮している。問題点としては初期型は十分な防御力が無かったため、予想外の損害を出してしまった。また、四八式重装機と比べ非常にコストが高く、使用する人工筋肉の生産にも時間がかかり、年間の生産数が伸び悩んでいるため、前線に十分な数の機体が配備できていない。ちなみに愛称である月兎の由来は、耳のような音波探信儀と性能試験中に飛び跳ねているところがまるでウサギのように見えたことから。


ジュリ:六六式重装機の元となった試作機。憑依操縦装置の調整と新型人工筋肉の開発に手間取ったことから当初の予定より5年近く開発が遅れた。生産機数7機

六六式重装機一型甲(ジュリⅠ甲):先行量産型。制式採用前に朝鮮戦線に緊急配備された仕様。憑依操縦装置に若干の不具合があったが、従来機を大きく上回る性能を示した。柴崎瑠璃が名実ともに国民的スターとなったのも、この機体とともに初陣を大勝利で納めた時のことであった。生産数30機(試作機からの改修機5機を含む)

六六式重装機Ⅰ型乙(ジュリⅠ乙):現在皇国陸軍重装機部隊の主力を担っている機体。驚異的な運動性能を武器に各戦線でその力を遺憾なく発揮している。しかし、初めて大規模に運用された渤島奪還作戦で、想定以上に防御力が脆弱であることが露呈したため、後に操縦席外型の装甲を追加、内部にも飛散防止用のケプラー繊維防護布を二重に施す改修が行われた。

六六式重装機一型丙(ジュリⅠ丙):空挺部隊仕様に改設計された型。内部フレームをアルミ合金製から軽量且つより強度のあるカーボンフレームに置き換え、新型複合装甲の採用や一部装甲の簡略化を行い乙型に比べ10パーセント近い軽量化が図られている。またレーザー通信装置の強化や、補助バッテリーの搭載による稼働時間の延長も行われ、第二期生産型となるⅡ型の雛型ともなった。

六六式重装機試製二型(ジュリⅡ):開発が進行中の六六式重装機第二期生産型。二型丙を参考として、カマキリ型との戦闘を念頭に置き、軽量化による運動性の向上と装甲強化による防御力の向上の両立を目指している。まだ制式に採用が決まったわけではないが、この機体の開発スタートと同時に便宜上従来型を一型と呼称するようになった。現在一部の先行量産型が運用されているとの噂がある。



重装機強化計画・開発番号:JKK111 通称:天狼


性能諸元

全高(標準姿勢):6.1m 

全備重量:14t 

過重:33t 

装甲:軽量複合装甲 

動力:ムンドゥスバッテリー

駆動方式:人工筋肉(新型炭素繊維) 

最高速度:290km 

最高跳躍高:60m 

最大作戦継続時間:90時間

固定武装:試製高周波粒子振動刀×4、衝角大(肘)×2、衝角小(膝)×4、牽引策砲(両肩)×2、煙幕発生器×2、対飛翔体自動迎撃装置×1

前腕部兵装架×2(三四式車載重機関銃、試製二〇粍機関砲)

背部兵装架×4(可動式兵装架、試製電動推進器、試製五七粍重装機砲、etc.)


 重装機強化計画を受けて、王班長(開発開始当初)率いる特別研究班と非財閥系の新興企業・桜島製作所が共同で開発した近接戦闘用重装機。重装機強化計画においては基本的には六六式重装機の改修、もしくはフレームを流用して開発しているものが多いが、天狼はフレームから新設計された完全新型機である。もともとは六六式の元となった試作機『ジュリ』と制式採用を争った大松製作所の『ジュヌ』をその原型としている。

 天狼は近年猛威を振るっているカマキリ型に対抗するため、そのカマキリ型の鎌を参考とした新型高周波刀・通称『蟷螂刀』を四肢に装備、また新型の複合装甲に電磁装甲を組み合わせ、さらに炭素繊維人工筋肉を採用し、他にも固定装備として爪型高周波刀や衝角など装備し、近接格闘戦を強く意識した機体となっている。

 しかし、天狼は装備の関係でバッテリーの消費が激しく、六六式重装機で使用されている六六式電池では十分な作戦行動時間が確保できないなどの問題もある。また、天狼は新機軸を多く取り入れた結果、高額な機体になっており、開発当初は軍からの予算が下りず計画が頓挫しかけ、その件に関しては、後に民間企業がスポンサーになることで解決はしたものの、天狼を量産する計画はなく、あくまで新兵装や戦術研究のための実験機という扱いになっている。 


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