黄昏の扉
邪答院つるる
第1話僕は今日彼女を庇って此の世から消えた―――
僕の名前は黄夜昏です。大学生してます。
今日は、大学で授業が長引き、サークルに遅れてしまった。
「ごめん。遅れた!」
僕の入っているサークルは中学からやっていた弓道。
3段を持っていることは、僕の唯一の自慢話だ。
「大丈夫だ。まだ、行射は始めていない。」
「んじゃー、全員揃った事出しぃーはじめますかー!!」
個性があるのは、気にしないで欲しい。何時もの事だ。こんな所がこのサークルの良い所だったりもする。
しかし、欠点だと思う思う事もある。
例えば今、
「もう少し顎下げて、そう。」
パンっ
的に矢が中った。
「おっほー、また皆中ですかい?才能が合って羨ましいねぇー。」
此処までは良い。だが――
「そーいえばさぁー。昏と同じ学科の夕薙叶華ちゃんめっちゃ可愛いよねぇー!!
そーいえば、叶華ちゃんて昏の彼女なんでしょ?
いーなぁー。」
嗚呼っ。此処は弓道場である筈なのだが。静かに精神統一をする場の筈だが?!
まあ、そんな事を考えながら今日も1日終わろうとしている。
しかし、今日はそうは行かせてくれないらしい。
何故なら、僕の彼女である夕薙叶華が大型自動車に轢かれそうに成っているからだ。彼女は、目を見開き逃げれる様な状態ではない。
このままでは、彼女は目の前で居なくなってしまう。
僕は問う。自分に向かって 『僕はどうすればいい』誰かが答えた
『そんなの簡単だ。助ければ良い。本当に、大切だと言えるのなら。
アニメの、ゲームの主人公の様に...』
誰か答えてくれたおかげでなのか分からないが...足が軽くなった。
トンッ
誰かに背中を押された様な気がした。その後は一瞬の出来事の様だった。
歩道から猛ダッシュで彼女の元に行き、彼女を車道から歩道の方に押す。
トンッ―――
僕は車道に倒れる。
ドサッ―――
硬い鉄の塊が眼の前にある。その後は、お分かりの通り地面とこんにちは。
誰かが泣いている。彼女だ。
「う"うっ、グスッ。何で私なんかを助けたの?
自分の命を大切にしなさいよ!!うう"っ。
貴方って本当に~~~ね。グスッ。そ~な~~~~~~。」
よく、聞き取れない。目の前が真っ暗で僕しかこの世界に居ない様だ。
言いたい。
君の為なら何だって出来るよ。君は初めて僕の事を褒めてくれた。愛しいと言ってくれた。嬉しかった。
本当なら、もうちょっとカッコ良くやる筈だったんだけど...駄目だった見たい。
嗚呼っもう意識が―――――
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