身籠りました!  そしてパパになる!

 嬉しい出来事

 珍しい、俺より先に吹雪ちゃんが起きてるなんて…。

 柊が家族になって1ヶ月経つ。

 クリスマスもお正月も無事終わり1月も中旬だ…。


「うぅ~っ、どうしたんだろう? 」

 トイレからお腹を押さえながら吹雪ちゃんが出てくる。

「どうしたの吹雪? 体調悪いの? 」

 そう尋ねると吹雪ちゃんは頷いて

「何だろう、もしかしたら出来ちゃったかもいつもなら今頃なんだけどまだなんだよね…」

 そういって俺を見つめてくる。


「それは本当ですか? 」

 吹雪ちゃんに尋ねると彼女は頷く

「やった! 俺の子供か! うわっ、めっちゃ嬉しい! 柊の妹か弟か…やったな吹雪! 」

 そういって俺は思わずガッツポーズをする。


「そんなにはしゃがないでくださいよ♪ まだ無事に生まれたわけじゃないんですから!」

 そういってお腹を擦って嬉しそうに微笑んでいる。

「柊! お前、お姉ちゃんになるぞ! やったな! 」

 そういって柊を高い高いすると柊は嬉しそうに笑っている。


「もう落ち着いてよ♪ でも喜んでくれて嬉しい♪ これで私たち本当に家族になるね♪ 誰かさんは私のこと暫定嫁とか言えなくなったね♪ そういえばまだちゃんとプロポーズしてもらってなかったなぁ~」

 そういって吹雪ちゃんは俺をジト目で俺を見つめてくる。

「言わなくちゃダメですか? 」

 そう聞くと吹雪ちゃんは頷いて

「言ってくれなきゃ、結婚しませんよ♪ 」

 そういって冷笑を浮かべている。


「すぅ~っ、よし! 1度しか言わないからね! たった一度の恋をしてたった一人の君を愛した。生まれ変わったとしても出会い方が最悪でもまた俺は吹雪と結婚したい。だからずっと側に居てほしい」

 吹雪ちゃんの顔を見つめて真剣に伝える。

「うん、柊とこの子ともども宜しくねパパ」

「こちらこそ宜しくね♪ 」

「パパ、ママ大しゅき! 」


 じいちゃんの喫茶店を継いでこっちに来るまでまさか自分が結婚するなんて思ってもいなかったけど…。だけど、こんなにも愛おしい妻と子供が出来て本当に嬉しい。

「俺と家族になってくれてありがとう♪ 」

 涙とともに俺は2人に抱きついていた。

「パパ、柊もしゅきだよ♪ 」

 柊が嬉しそうに俺の頬にキスをしてくる。


「ママの方がパパのこと大好きだよ? 」

 そういって吹雪ちゃんは俺の唇にキスをしてくる。

「張り合うなよ…、俺にとっては吹雪も柊も大切な存在なんだから…」

 そういって吹雪のおでこをデコピンすると吹雪は舌をペロッと出して『ごめんね♪ 』と柊に謝っていた。

◆◇◆◇

「ママまだかな? 」

 雪がここ何日か降らなかったので何とか車が出せたので家族全員で近所で1番の総合病院に来ている。

「ママが戻ってきたら買い物に行くからね♪ 柊は何か欲しいものある? 」

 そういって柊の翡翠色の髪の毛をかす。


「うぅ~んとね、柊はねぇ~…。弟と妹!」

 いや、いくらなんでも…。

「ただいまぁ~」

 疲れた顔で吹雪が帰ってくる。

「お疲れみたいだけど大丈夫か? 」

 そういって俺はあらかじめ買っていたお茶のペットボトルを渡すと吹雪ちゃんは俺と柊を見て『ママが居ないときパパとどんな話をしてたの? 』と柊に尋ねている。


「パパがね、柊に何が欲しい? って聞いてきたから弟と妹が欲しいって話してたの♪ 」

 あれ? 柊から話を聞いた吹雪が固まってる。

「どうしたの固まって? 」

 そう尋ねると吹雪は驚いた顔をしたあと


「柊、パパ…。柊のお願いが叶っちゃうかも…。実は双子だったの! 」

 そういって柊を抱っこする。

「……はっ? えっ? えぇぇ~っ!!! 」

(*注 病院内で大きな声で叫んではいけません…。睨まれます)


「まったく、パパは驚きすぎなんだから♪ ねぇ~柊」

 そういって後ろの座席で吹雪は柊と一緒にケタケタ笑っている。俺が看護師さんから怒られていたのが面白かったのだろう…。

「ママのお腹に弟と妹がいるの? 早く遊びたいなぁ~♪ 」


 そんなことを話しているうちにお店に着いた。

「いらしゃぁ~せぇ…えっ! 」

 どうやらこのあいだのゴム騒ぎの店員が今日もレジ打ちをしているようだ…。

 気にしない様にしよう…。


「パパ、コレなに? 」

 そういって俺に俺に尋ねてきたのは奇しくもワゴンセールで売れ残っていたアリスのメイド服だった…。

「えっ、第二夫人? しかもまだ4~5歳の幼女じゃん…。ロリ、不潔…」

 確かに1ヶ月ぐらいで幼女が居るのを不思議に思うのはおかしくないと思うよ…。だけど第二夫人って選択はおかしくないか…。


「さすが柊! ママと一緒に着てパパに可愛がって貰おっか♪ 」

「うわぁ~っ、無いわあのエロ親父…。サイテー」

 吹雪ちゃん、誤解を生む発言はやめてくれ! それと勝手に誤解しないでくれないかな? メッチャうるうるした目で柊が俺を見てるけど、どうすればいいのかな?


「欲しいの? 」

 そう尋ねると柊は頷いて

「ママと一緒がいい! 」

 そういって俺の足にしがみついてくる。

「サイテーなロリクズ下衆野郎…」

 店員さんの視線がさらに冷たいものになった…。

◆◇◆◇

 ドン・キ・ホーテで店員さんに冷ややかな視線を送られながらも買い物を済まして柊の服と妊婦の吹雪ちゃんのためにゆったりした服を買いに『しもむら』に向かう。

「いら…こんにちは、今日はどうしたんですか? 」

 そういって俺の足に抱きついている柊を見つめている。


「今回は娘も連れて来たんです。もうすぐお姉ちゃんになるからそれに合わせて服も似合うの買おうなってことになったので…。お願い出来ますか? あと妊婦用の少しゆったりした服も妻に似合うのお願いします。予算が5万位で、あっ、でも彼女達の意見も尊重してあげてください♪ 」

 そういって店員さんに2人のことをお願いする。女性用の服なんて分からないからね…。

 

「やだぁ~! パパと一緒に探すの! パパ! あっち見たい! 」

 そういって柊が俺の手を引っ張る。

「パパのセンスの見せ所だね♪ いってらっしゃい♪ 」

 そういって吹雪ちゃんは店員さんと一緒に行ってしまった。


「パパ! 可愛い服にしてね♪ 」

 うわぁ~プレッシャーだなぁ…。

「行こっ♪ 」

 俺は柊に連れられて女の子の服エリアに向かった…。





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