私を温めてください!
兎神 入鹿
プロローグ
山の天気は変わりやすい
「うわっ、本当になんもねぇ…」
車の中から窓の外に広がる田舎の風景を見ながら山を登っていく。
俺が田舎に来た理由は亡くなった祖父が住んでいた喫茶店を継ぐためだ…。
「とりあえずお隣さんがこの辺りみたいだから挨拶しなくちゃ…。アレかな? 」
見えてきた家の前に車を止めて家のチャイムを鳴らす。
「こんにちは、引っ越してきた
そういっていると家の中から年老いたおじいちゃんが出てきた。
「おぉっ、お前さんが
そういって手を差し出してきた。
「はい、祖父が生前はお世話になりました。祖父の喫茶店も俺が引き継いで営業していくのでもし良ければ来てください! それじゃあ引っ越しの荷ほどきがあるのでまた…」
俺はそういってお隣さんをあとにする。
◆◇◆◇
「はぁ~っ、やっと着いたよ…」
そう、やっと着いたのだ! お隣さんの家を出てから山道を車で1時間! 本当に時間がかかった!
本当に山の中腹にあって、こんなところにお客さんが本当に来店するのか?
そんなことを疑問に思いながら俺は簡単な荷ほどきをしていく。こっちに持ってきたのは俺の服とパソコンそれと車と途中のスーパーで買ってきた食料品と野菜やハーブの種苗だけだ…。
「あとはジイちゃんの家に元々置いてある家具を使えば良いから心配ないな…。あっ、電気とガス、それと水道使うから電話しなくちゃ…。今日の今日でやってもらえるのかな…」
そんなこんなで各方面に電話をかけるとなんとか今日中にやってくれるとのこと…。
よかった12月だからさすがに薪ストーブだけだと厳しいからね…。ホットカーペットとか電気毛布とか無いと夜寒いからね…。
とりあえず俺は持ってきた荷物を車から降ろして家に運ぶ。
「うん、少しホコリっぽいけど最近までジイちゃんが住んでたから割りと綺麗だな! 」
そういって俺は2階に上がりジイちゃんが主に使っていた部屋のクローゼットに服をそれから書斎にパソコン、それと地下の食糧庫に買ってきた食料品をそれぞれしまう。
「あとは1階に戻ってカップとかサイフォンを洗って店舗部分を綺麗に掃除しておくか…」
俺は1階の喫茶店スペースに戻り掃除を始める。
掃除用品は子供の頃何度かここにお手伝いしに来ていたので難なく分かった。
正直俺がこのお店を貰うなんて思ってもみなかったので驚いている。確かに昔、『大きくなったら僕もバリスタになっておじいちゃんと一緒にこの喫茶店で働くんだ! 』なんてことを言ってバリスタになるために勉強とつい最近までイタリアに修行に行っていたのだが日本に帰ってきて資格を取ったらジイちゃんが死んじゃって、いきなり店を継ぐことになったんだもんな…。
「正直、頭がついていかないよ…」
ボヤキながら掃除をしていると窓の外が徐々に暗くなってきた。
「まぁ、ここに着いたのが夕方の4時だったもんな! それで掃除なんかしてたらアッという間に暗くなるよな…」
どうやら電気もつくようなので明かりをつけてカーテンをする。
「うわっ、外雪降ってるじゃん! 』
さすが山の中腹! もう雪が降ってきたよ! 今夜は寒くなりそうだ!
そんなことを思いながら俺はキッチンに向かい夕食を作ることにした! 今日のメニューはビーフシチューとパンとサラダという簡単料理。
「これ以上、
そういって外を見ると白いワンピース姿の女性が居た!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます