願望世界

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0章

第1話 始まり

「おら、飯だ。食え。」

 いつも見る光景。団欒というものか。

「うえっ、兄貴これ苦手なんだけど」

「ちゃんと食え。」

 最も、俺達には親なんていないが。母はある日、謎の大量出血で死亡し、父は突然行方不明になってしまった。親族を失った俺達。女も見つける事すら出来ない程だし。これは俺達の血族、全滅か?

「てかさ、兄貴彼女作らないの?」

 今思った事と似たような事言われたし。なんだこいつエスパーか?

「う、うっせえ。俺だっていつかは・・・」

「その『いつか』って明日?それとも来週?」

 きえええ・・・なんかイライラする・・・

「・・・散歩してくる。」

「逃げたか。」

 おっと、まだ自己紹介がまだだったな。俺の名前はグサナギ。ちなみに成人済みだ。んで、さっきのは弟のヤナタ。

 散歩道。イライラしてるときにすると見える景色が違って見える。キエエエエとか叫びたいが流石に迷惑だから止めとこう。ええい、こうなったら酒でも飲んで忘れよう!

「おっちゃん、いつもの!」

「あいよ、どうした、今日は機嫌が悪いみたいだが。」

 この人は酒場の店長のシュワイさん。いつも俺の愚痴を聞いてくれる超優しいおっちゃんだ。俺がここの常連になった理由でもある。

「っはーっ!それがよ、ヤナタが早く彼女作れとかいうからさ、ついムキになっちまった。」

「ははっ、そりゃまあヤナタもあれだけどさ、お前もムキになるのはおかしいと思うぜ?」

 うーん、た、確かに。

「今日はこれくらいにしとくよ。はい、勘定。」

「おう、またな!」

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