わたしはヒト科ネコ属の女の子

儚舞

第1話 えぶりでい らいふ

 私の名前は白神乃彩しらかみのあ

趣味はスイーツ巡り、、、とか

言ってみたいけど、残念ながら

戦闘ゲーム…。今はピチピチの

高校2年生、、、うまくいってたら

の話だけど…。

 私にはある悩みがある、誰にも

言えない悩みが。それは

『猫化症候群』という病気を

抱いていることだ。この病気は

普段、障害をもたらすことはない。

ごく普通に人として生活を

送れるのだけど、感情をあらわにした時、

大きく症状が現れる。外見から内面

まで猫化してしまうのだ。

 私はこの病気が原因で小学生の頃にいじめられ、今まで家で引きこもっていた。さすがにこのままじゃダメだと思い、新しい地で高校デビューを

果たそうと、一人暮らしを始めた

わけである。

 そうこうしていたら

来てしまった。寂しそうな

インターホンの音と共に威勢のいい

若い男の声が聞こえてくる。


「宅急便でーす!」


 先月も届けにきた人だと思いつつ、受け取りのサインをスラスラと書く。家からの仕送りだ。


「今日のはだいぶ重いですね!中までお持ちしましょうか?」


 いやいやいや、女子のプライベートルームに入るつもりかよ。

最近の若者、恐るべし。


「え、あぁ、大丈夫ですよー」

「では玄関先に置いておきますね!

いつもありがとうございます!

失礼します!」


 は軽快にその場を後にした。


「男性なんてハードルが高すぎる…

次の学校、うまくいくといいな…」


 深いため息と同時に思わず心の声が漏れてしまった。

 送られてきたダンボールを開け、

中に入っていた手紙に手を伸ばす。


「乃彩へ

一人暮らしはもう慣れましたか?

明日は、いよいよ待ちに待った入学式ですね。お母さんはとても心配です。でも、乃彩が頑張ると言って

一人暮らしを始めたこと、とても

嬉しく思ってます。今日の仕送り、色々突っ込んでみたから使ってね!

母より」


 しんみりとした話から急に

ハイテンション、お母さんの

いつものクセだ。

 最近の仕送りには猫化対策

グッズが多く送られてくる。

 例えば、色付きレンズのメガネ。

産まれたときから元々私は

オッドアイで、目の色が左右で

違っている。だから、このメガネは

とても役に立つ。さっきも宅急便が

届いた時にもかけていたから

分からなかったのだろう。

 今日の仕送りは、大量の食料…

男子運動部並みの量が送られてきた。

先月はグッズが多くて食料が

足りないとは言ったものの…

絶対多いでしょっ。

 手紙を再度読みながら、ふと

思い出した。明日が入学式という

正念場だということを―。

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