ハンスと嘘つきの杖

@lionwlofman

第1話ハンスの思いつき

ハンスはとても真面目で、嘘が大嫌いな、小さな国の王様でした。玉座に座り、いつもの様に何が国民にとって良い事なのか、真剣な表情で考えていました。世の中、悪がはびこっている。特に問題となっている悪は何か。人々が頻繁につく嘘に違いない。これを何とかせねば。

ハンスはすぐに玉座から立ち上がり、両手を叩いて鳴らすと大臣を呼びました。もう年をとっており、背中の曲った大臣は、とぼとぼと、それでも精一杯といった足取りで、ハンスの前にやって来ました。しわがれた声でゆっくり言います。

「陛下、何かご用でございましょうか。」

ハンスの浮き足だった様子に、少しやれやれといった表情を見せます。

「大臣よ。私は思いついたのだ。この世の中が良くならないのは嘘がはびこっているからだ。国王としてこれを何とかせねばならない。嘘つきをあぶり出す方法を考え出せ。」

昼食が終わってのこの時間、ハンスの思いつきは、やはり迷惑なのか、大臣は嫌そうな顔をしながら言いました。

「それでしたら、もっぱら不思議な道具を作っていると評判の、アンソニーじいさんを城にお呼びしてはいかがでしょう。何か良い道具を手に入れる事ができるかもしれませんよ。」

「その男信用できるのだな。」

厳しい目つきのハンスに

「それは分かりません。」

とあっけらかんと大臣は答えます。まさに嘘を嫌う王様に適当な事は言えないのかもしれません。

「しかし彼以外にこれと言った人物も思いつきません。」

ハンスは床を見つめ、頭をかいて

「分かった。さっさとその者を呼んでまいれ。」

と言ったのでした。



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