檻の中の世界から

山お

第1話 プロローグ

今から200年ほど前のこと。人は空を飛んだ。人間の脳は10%程しか使われていないとされている。だが、先天的にその限界を超える人類が現れたのだ。その一人を皮切りに、特異的な能力を持つ人類が生まれ始める。その確率は一万分の一程とされている。そんな超人達は長い年月をかけ、持たざる人類たちを弾圧していった。そして今の日本。国の総理、大臣、さらには警視総監。国の重鎮とも言える立場は全て超人達に独占され。旧人類の上に超人たちが君臨する国家の形が出来上がっていた。貧富の差は見るに明らか、人権なんて無いも同然に扱われる旧人類。逆らうことは出来なかった。超常的な能力の前に屈せざる終えなかった。

そんな世界でも、旧人類は生きていかなければならない。生活水準は下がり、食い繋いで行くだけで必死だった。その為に育児放棄か慢性化して行ったのだ。労働力を失う事を危惧した新人類は、捨てられた子供達を一箇所に集め、必要最低限の食事を与え育てた。聞こえは良いようだが、扱いは家畜と同じと言ってもいいものだった。

そんなところで育った少年。生まれた時に捨てられ、名前すら持っていなかった。呼び名が無いのは不便なので。彼はアキラと国に命名された。そんな彼も15歳になり。国の労働施設に送られようとしていた。物語はその前夜から始まる。

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