ガチャ魔王をぶっ飛ばせ!

大王さん

第1話 すべての始まり

「俺はこのガチャにすべてを賭ける!」


 勇者タケルは腕を伸ばしまるで宙を捻るように指を回した。


 ガタンッ


 その音と共に巨大な何かが降ってくる。

 魔王城の天井をぶち抜き現れたそれは龍王の化身である美しき女性ナガラージャが現れた。


「汝が妾の主か。よい。妾に名を与えよ。その力を予に示そうぞ」


勇者タケルは笑みを浮かべた。


「ならば俺の名によりその憎き魔王を一撃の下に葬り去れ!」


「良かろう。よく妾の力を見るが良い」


 ナガラージャが口を広げると空間がねじ曲がり周囲の光という光を吸収して巨大な光の珠を産み出す。


「その程度の力で我が輩を滅ぼせると思うな」


 魔王は両腕を前に差し出してその先に巨大な闇の壁を産み出す。

 そしてそれが合図となった。ナガラージャが放った閃光は空間をねじ曲げながら突き進み闇の壁を突き刺さる。

 だが、魔王が力を振り絞り闇の壁がより巨大に膨れ上がり完全にそれを防いでしまった。


「そう来ると思ってたよ」


 勇者タケルは懐から財布と取り出すと異世界通貨を取り出した。


「食らえ。これが俺の全財産だ」


 チャリン


 手元の異世界通貨を宙に投げると吸い込まれ、景気のいい音と共に再びトリガーが現れた。


「課金の力をなめるなよ」


 再び宙を捻りそこに一降りの宝剣が現れた。


「俺はつくづく運がいい」


勇者タケルはその宝剣を握りしめ、闇の壁をなぎ払う。


「おのれ、どこにそんな力があったのだ」


「俺にはな。幸運の女神様が付いてるのよ。それが運命を決定づけた。これで年貢の納め時だ」


「おのれ、おのっっっっっっっっれっっっっっっっっっっっ!」


「ナガラージャ、今だ! 魔王に強烈な一撃を頼む!」


「了解した。妾の主よ」


 再びナガラージャの閃光が魔王を襲う。

 強烈な閃光は魔王の体を焼き、体中から蒸気が吹き出し肉体のほとんどが炭化していた。

 だがそれでも魔王は立ち上がり勇者タケルに爪を伸ばす。


「まだだ。まだ終わらんよ……」


「いや、これで最後だ」


 勇者タケルは魔王の心臓に宝剣を突き刺した。

 魔王は力尽き、伸ばした爪はタケルに届かず力を失い、地面へと垂れ下がる。

 宝剣は魔王の体を徐々に溶かし、やがてすべては霧になった。

 こうして魔王は倒され世界は平和になったとさ。

                        fin?





 本当に?



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