第10話 義経像、「天才」と「判官贔屓」
「義経は軍略の天才」という後世の評価に異論を唱える方もいます。
この「天才」という表現は、ルール破りの奇襲や非人道的な(架空の)戦術によるものではなく、「機を見るに敏な、タイミングをつかんだ行動力」「事前の現地調査」「敵味方の状況からの勝機の発見」(これらの詳述は、さすがに別の機会に回しますが…)などに向けられたものではないかと思うのですが、まあ、それも人それぞれ。
義経の受難から、彼の役職をもとに「判官贔屓」という言葉が生まれました。日本人に通底する、弱いものの味方をする気質のことです。
確かに、悲劇のヒーローとして彼が中世以降、ひいきされてきた感はいなめません。
しかし、根拠もないのに非戦闘員射殺などという行為をしたといつの間にか決めつけられてしまった現代では、日本人の持つ別の気質…特にネット社会でよく見られる「出る杭は打たれる」の方を体現している人物と言えます。
情報化社会の中、不確かな情報をもとに、ちょっと有名になった特定の個人が糾弾される悲劇は後を絶ちません。
源義経という物言わぬ有名人(しかもイメージ的にはヒーロー側)は、サクッとさらし上げておとしめるのに、うってつけということでしょうか…。
どんなに濡れ衣を着せても、本人からは絶対に反論もされませんし。
一部の人がアナーキーにマウントをとるには、最適の存在なのかもしれません。
Twitterで「義経 卑怯」「義経 水夫」などと検索すれば、そこにある決めつけぶりと口汚さに、その事実の一端を垣間見ることができます。
なお、私は専門家でも何でもない個人です。集めた情報、その解釈には限界があります。
ですので、ここまでの文章に誤りがあれば、お手数ながらご指摘ください。
不明をお詫びし、適宜訂正いたします。
なぜお前こそ、800年も昔の他人に対してそんなに一生懸命なんだと、自分でも思います。
私は、子供の頃から、反論できない人が一方的に濡れ衣を着せられることが、一面的に嫌いでした。きっとそのせいでしょう。
他人なのに、おかしいですね。
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