第2話 ネット上では「卑怯者」の義経(無理もない)

 「義経 卑怯」でググったり、Twitterで検索してみると出ます出ます、「義経は英雄ではなく卑怯者だ!」「義経は当時の戦のルールを破った!」「勝つためには手段を選ばなかっただけで、軍略家として優れていたわけではない!」etcetc。


 もう当たり前のように、義経=卑怯者、の前提条件を抱いている方が大勢おられます。

 その根拠の最たるものが、前述の「壇ノ浦での水夫・梶取(非戦闘員)射ち」です。


 この、壇ノ浦の戦いというものがどんなものか、簡単に著します。

 時は平安末期、源平合戦の最終局面。

 源氏と平家が、一族の生き残りをかけて激突しているさなかです。

 源義経は、兄である源頼朝の命の下、敵対する平家一門に対し連戦連勝(奇襲ばっかりするし)。ついに平家最後の軍を、壇ノ浦(現在の山口県と九州の境目の海近辺)へ追い詰めます。

 この戦い、義経=源氏にとっても初めての、本格的な海戦となりました。

 諸説あるものの、戦闘時間は早朝から午後になるまで続いたという説もあり、かなりしんどかった戦いのようです。そりゃ平家にしてみれば、一族滅亡がかかってるわけですし。


 戦いは、当初は平家側が押していますが、やがて形勢逆転。

 この形勢逆転の理由として挙げられる中の最たるものが、上記の「水夫射ち」なわけです。

 まとめるとこのようなもの。

「当時、水夫や梶取といった船の乗組員で武士でない非戦闘員は、お互いに狙わないのが合戦のルールだった。しかし自軍を劣勢と見た義経は、平家側の水夫・梶取を狙って射殺させた。船の漕ぎ手を失った平家の船は立ち往生。形勢は逆転し、源氏が勝利した」…


 場合によってはこれに、「味方も眉をひそめた」などのオプションがつくこともあります。

 なるほど、確かに効果的ではあったでしょうが、あまりにもひどい作戦です。

 ……が。

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