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 あたしが普通に生活していたら、年齢的には高校生になる。

 だけどあたしには、小学校4年生から学校で過ごした思い出が殆どない。


 丈夫かと問われれば、ひ弱なほうだった。

 それでも小学校の低学年の頃は、友だちと放課後に外で走り回って遊んだり、夏はプールに出かけて、冬は雪合戦を楽しめる、どこにでもいる普通の女子小学生だった。


 だけど、小学4年生になってしばらくの時。

 突然の胸痛で倒れて検査を受けたら、心臓に重大な欠陥が見つかって即入院。


 それから入退院を繰り返す生活が始まったけど、ずっと入院してたわけでない。

 その頃はまだ、クラスメイトが頻繁にお見舞いに来てくれた。


 学校のプリントを届けてくれたり、クラスで何が起きたかを教えてくれた。

 みんな笑顔で、漫画やゲームを持って遊びに来てくれた。


 だけど入院の割合がどんどん増えていって、一度入院したら数ヶ月は病室で暮らすようになって、クラスメイトが訪れる頻度が週に1度から月に1度になって、たまに学校に顔を出しても、友達ではなくお客さんのように扱われるようになり……あたしの存在は彼らの心から消し去られた。


 もうずっと、家族以外にあたしのお見舞いに訪れる人はいない。



 ――だから先生。

 ――もう入院しなくていい生活。

 ――そんなのわからないよ。

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