ひらめきと可能性

カゲトモ

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『料理はひらめきだ』という言葉がある。とあるアニメのセリフだ。他に有名なセリフは『真実はだいたいいつもひとつ!』そう、かの有名な料理がテーマのアニメ“名料理人、マンサク”の名セリフ。

 なぜそれが今頭の中に浮かんだのかと言うと、新しい味付けのレシピが降りて来たからだ。

「絶対あり」 

 いける、いけるぞ。これは大当たりの予感。

 急いでエコバックを開いて材料を取り出した。まだ時間はある。とりあえず作ってみるしかない。

「よし」

 作るのはポテサラだ。

 居酒屋やバーと言えば定番のこのメニュー。うちの店ではコンソメとマスタード、それから少しの蜂蜜で味付けをしているこの洋風のポテサラは、酒とのバランスを考えて作ったこともあり人気のメニューになっている。

 それに新しい味付けをしたらどうかと、ひらめいたのだ。なぜひらめいたか、それはこの小さな小瓶と出会ったからだ。

 昨日常連さんが帰省の土産だと置いていった赤いペーストの入った小瓶。定番の調味料ではあるけど、使いどころが良く分からなくて。とりあえず今朝いつも使うように料理に放り込んでみたら、もう驚いた。

『何これ美味すぎるんですけどぉ!』

 とか汁椀片手に朝から一人で叫んでた。だって今まで食べていたものの中で断トツに美味しかったから。

 そう、それは生七味唐辛子。

 だって今まででどの七味でも同じだと思っていたし、美味しいとか美味しくないとかそう言う次元のものじゃないと思うじゃん? でも全然違う。とにかく美味い。風味が凄い。山椒が良い仕事してる。

 ピリッとするけど辛すぎない。存在感はあるのに素材の味を引き立てている。うーん、人生の中で七味にこんなに感動したの初めてだ。

『ありがとう』

 この七身に出会わせてくれて。と思うくらいには感動した。

 味噌汁に入れてこの美味さなら、きっとそばやうどんなんかの素朴な出汁に溶かせばもっと美味いだろう。いや、それだけじゃなくもっといろんな味付けに使えるかも・・・

「はっ! これだ!」

 ポテサラならイイ感じな気がする! と思いついたわけで。コンソメを入れる前のプレーンなマッシュポテトに混ぜれば、風味がたってそれでいてピリ辛な大人風味のポテサラになるはずだ。

「絶対あり」

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