君にクリスマスプレゼントを!
Celi
第1話 君の前に降り立って、運命の出逢いを
俺が何者かなんて自分でもよくわかっていない
それでも自分が人間じゃないってコトくらいはわかるんだケド、妖精?天使?…ん~何かはやっぱりわかんない
ただこのクリスマス前の冬の時期に人間世界での存在を許される生き物
この時期に俺達が人間世界に行く目的は決められた特定の人間に1番ほしいものをクリスマスプレゼントするコトだ
人間世界にある言葉で簡単に言うならサンタクロースみたいな感じか
12月25日クリスマスの1週間前から人間世界に行けるんだが、特定の人間にクリスマスプレゼントしなければ帰れないらしい
らしいと言うのは俺は今年始めて行くからなんだケド
優秀な人なんて5分で帰って来るみたいで、クリスマスプレゼントだから遅くても25日までには渡して帰って来るのが普通
でも、クリスマスプレゼントを渡せなければ1日2日過ぎるコトもあるとか…
そういう奴らは無能落ちこぼれカスゴミクズとかなんとか言われて次の冬までバカにされるんだ…
俺はさっきも言ったケド、今回からが始めてのクリスマス
始めてだからまだわかんないコトだらけだケド、1週間もあればクリスマスプレゼント渡せると思うんだよな
余裕だろ?
だって、俺達の魔法の袋には聞かなくてもその人間のほしいものを取り出すコトが出来るんだ
スゴイ便利だろ?
それなのにクリスマス1日2日過ぎる奴の意味がわからん
そんな簡単なコトが出来なくて1年カスゴミクズなんて言われながら生きたくねぇ!!
大丈夫…始めてのクリスマスでも俺はやれる!!出来る!!
「セリは始めてのクリスマスですね
まだわからない事も沢山あるでしょうけれど、貴方なら大丈夫です
頑張って下さいね」
「ハイ!マスター!!俺、頑張ります!!」
人間世界に行く前にマスターからカードを貰って、その中に書かれてる人間が俺の担当になる
マスターって言うのは俺達みたいな存在を作り出した人
マスターが女神なのか大天使なのか何なのかはわかんないケド、たぶんそんな感じだと俺は勝手に思ってる
まぁ…俺とは別の存在であるコトはハッキリわかってるかな……
それを表すかのようにマスターと俺の大きさの差は巨人と小人みたいだ
マスターから見た俺はドールのように小さき生き物
マスターは何人かいてみんな俺達のような存在を傍に置いてるんだ
俺のマスターは今目の前にいるこの絶世の美女
とっても綺麗で慈愛に溢れまくってる素敵な方なんだ!!
俺はこの方をマスターと呼べてスッゲーラッキーだと思うし幸せだ
いつもみんなの幸せを考えてくださるようなお方だから……
人間だけじゃなく俺達にまで
他のマスターには俺達のような存在を道具としか思っていない奴とかいるし
俺達にだって命もあれば感情もあるのに
「あっそうだ」
マスター大好きで見とれてしまってたケド、早くカードの中身を確認しなきゃ
決められた人間にさっさとクリスマスプレゼント渡して早く帰ってマスターに優秀だって褒められるんだ!!
頑張るぞ!!
あっそうそう、人間世界で噂されるサンタクロースと違って俺達は大人も子供も関係ないんだよ
サンタクロースは子供だけにプレゼントするみたいだケド
俺達は大人も子供も良い人も悪い人もどんな人間でも平等
でも、1人に1人担当だから俺達がクリスマスプレゼントを渡す人間は毎年ランダムで決められてる
人間が俺達に一生のうち会えるか会えないかは会えない方が遥かに多い…
だから俺がコレから会いに行く人はランダムで偶然と言っても、でも偶然じゃなくて運命のような気がするな
始めてのクリスマス、永遠に忘れられない想い出になりそうだ
「俺の担当はっと……んっ!?」
スッゲードキドキ緊張しながらカードの中身を見てみるとさらに大きく心が弾けるように打った
きっとこの子じゃなきゃ俺はそれほどビックリ驚くコトもなかっただろう
やっぱりコレは運命なのか
それともランダムの中から決められた人間を俺達の担当にする時、マスターはワザと俺に彼女を選んだのか…
だって、俺の担当の子は……
「いるんだ…」
自分にソックリ瓜二つの女の子
「同じ顔って…」
血の繋がった双子ならいてもおかしくないが、俺と彼女はもう存在からして別の生き物だ
カードには写真と名前、性別、年齢、居場所が書かれてる
名前も似たような感じだな
年齢は俺の見た目と同じくらいか(俺はまだ0歳だけど見た目は20歳くらいの男なんだぞ)
あまりにソックリ瓜二つすぎて他人とは思えなくなってくる不思議な感情
マスターが選んでくれたならきっと彼女は俺じゃなきゃダメなんだろう
頑張る俺!!最初はビックリしたケド、マスターのコトを考えると前向きに考えれるぜ!!
カードの中身にビックリしていると後ろに誰かいるのに俺は声をかけられるまで気付かなかった
「ふ~む、始めてのクリスマスはお前にそっくり瓜二つの女が担当か
なかなか綺麗で可愛い娘ではないか」
「わっ!?はっビックリ…した……リジェウェィさん……」
反射的にカードを閉じて後ろを振り向く
のぞき見られてしまった!!
いや別に見られても全然いいんだケド…なんかハズイ
「そんなに驚く事でもないだろう」
リジェウェィさんは俺の大袈裟なビックリにちょっとムッとする
いや…後ろにいたコトにもビックリだケド、リジェウェィさんが女の子を可愛いって褒めるなんて始めて聞いたよ
女の子苦手って言ってたし
リジェウェィさんは俺より何十年もクリスマスを経験してて、しかも1番優秀で立派な人なんだよ!!
人間世界に行って5分で帰る人ってのはリジェウェィさんのコト
何もかもが完璧でその姿に誰もが憧れてる感じだ
そんなスゴイ人なのにまだクリスマス1回も経験してない俺に何かとリジェウェィさんは優しくしてくれる
だいたい、クリスマス1回も経験してない奴は仲間と認められないでハブられるみたいだからな…
実際に俺は他の奴らからハブられてるワケだし
マスターとリジェウェィさんが優しくしてくれるから気にしてないケドさ!
「やっぱり今年もリジェウェィさんが1番早くに帰って来るんだろうな」
「当然、今年で99…来年でやっと100になるのだ
後少しの所で失う訳にはいかない」
コレはリジェウェィさんに聞いた話なんだケド、100回連続で1番優秀な人に選ばれるとマスターになれるらしいんだ
俺達みたいな存在がマスターになれるなんて夢みたいな話
俺も100回連続優秀な人に選ばれたいな…
だって、マスターってなんかカッコイイじゃん!頑張るか
「リジェウェィさんなら絶対マスターになれるよ!
頑張って!応援してるからさ!!」
俺がそう言うとリジェウェィさんは自信満々に笑う
もう2年後は俺マスター決定だからと言わんばかりの勝ち誇った顔
「俺がマスターになったらお前を傍に置いてやっても良いぞ」
「リジェウェィさんが俺のマスターか~…ありがたいケド
でも、やっぱり俺のマスターは今のマスター以外考えられないかな
マスターが俺を捨てるまでは離れたくねぇかも」
捨てられるとか自分で言ってスッゲー悲しくなってしまった…
俺のマスターに限って捨てるなんて絶対にありえない
どんなに無能で落ちこぼれでもマスターは見捨てたりはしないんだ
「そうだな…バリファ様は素晴らしい方だ
お前が離れたくないのもわからなくはないのだがな」
バリファ様って言うのが俺のマスターの名前
リジェウェィさんと俺は同じマスターじゃない
リジェウェィさんのマスターはセレン様って言う方なんだケド…
リジェウェィさんは自分のマスターがあんまり好きじゃないみたい
俺達はマスターを好きに選べないんだ
リジェウェィさんは自分のマスターから離れたいって思ってる
マスターから離れるには自分がマスターになるか捨てられるか……
捨てられる=死ぬコトなんだケドさ
俺はセレン様のコトはよく知らないんだケド、リジェウェィさんは1番優秀なんだから可愛がられてるとは思うのに…
「…そろそろ時間か」
「う~…緊張してきた……」
人間世界に行ける時間を知らせる時計が鳴り響くと、カードを貰った時から感じてた緊張がさらに強くなって不安も出てきた
「大丈夫、何も難しい事などないのだ
頑張れセリ…また後で……」
リジェウェィさんの足に立派な金色の翼が表れる
人間世界は徒歩では行けないから空を飛ぶ翼が必要なんだ
俺達のいる場所よりずっと下のほうにあって、翼なしの飛び降りだとさすがにそれは簡単に軽く死ねるレベル
「うん!また後でな!
俺も早く帰れるように頑張るぜ!!」
先に行くリジェウェィさんに手を振って見送った後、俺の足にも翼が表れる
翼の色はみんな違うんだよ
俺はほんのりピンクがかった白い翼かな
リジェウェィさんみたいな立派な翼じゃないのはまだヒヨッコだから
ヒヨッコの翼は生え変わって立派に成長するから今の俺はかなり羽根がよく抜ける
こんなんでちゃんと飛べんのかよって感じだが、まぁコレもみんな経験してきた道
たぶん大丈夫だろう、落ちたコトはないしな
「………が、頑張る……」
人間世界に通じる大きな穴にみんな飛び込んで行くのを見ていたら、いつの間にか自分が最後になってしまった
だって…この穴を覗いても真っ白な雲が覆ってて人間世界が全然見えないんだもん……
そんな見えない先に始めて行くのってちょっと恐いだろ?
でも、行くケドな!!
早く帰ってマスターに褒められるんだ!!
マスターのコトを考えれば心配も不安も軽くなる
俺は勇気を出して、人間世界に通じる穴へと飛び込んだ
「うわっ寒ッ!?何コレ超寒ッ!!!??」
人間世界は体験したコトのないくらい寒い所だった
俺達のいる所はずっと暖かいから…
人間世界ってこんな寒くて冷たい所だったのか
とりあえず俺はもう一度カードの中身を確認しながら担当する女の子の家まで地図を見ながら向かう
「地図って苦手なんだよな~」
まぁ音声付きでナビッてくれるから地図苦手な俺でもその通りに行けば迷うコトもないか
「ついた!!………ケド………」
なんなんだこのオンボロアパート……?
人住んでるのか?いや住んでるのはお化けだろ……
ナビに案内されてついた場所はまさに廃寸前の人気ないオンボロアパート
今が夜ってコトもあって、さらにそのオンボロさが恐さ倍増
こんな所に人間の若い女の子が住むのか?
イメージじゃないんだケド……
21歳の女の子が一人暮らしするならもっとセキュリティとか万全でオシャレなマンションってイメージが…あったんだが……
オンボロアパートを目の前にして呆然としていると、後ろに人間の気配を感じた
「あっ…もしかして……」
振り向くとそこには俺が担当する自分にソックリ瓜二つの女の子が変質者でも見るかのような目で立ち止まって俺を見上げていた
ソックリ瓜二つと言っても髪型だけが違うかな
彼女は女の子らしい長い髪をツインテールにしてるし、俺は肩に届くか届かないくらい
この時間にアパート前で会うってコトは仕事帰りなんだろうか…
「あっはじめまして…俺……」
まずは自己紹介をと思ったケド、彼女は俺をスルーして横切りオンボロアパートに入って行く
「その辺散らかしたならちゃんと掃除しとけよ」
横切る時に彼女は俺にオンボロアパートの前にたくさん抜け落ちた羽根を掃除しろと言った
確かにこの道は俺の抜け羽根だらけで地面はフワフワの真っ白だケド………
「…………………………………………………。」
何あの子!?スゲークールだったケド!?しかも男喋り!?
人間は俺達みたいな存在に会ったらビックリして腰抜かしたり逃げたり現実逃避したりするって聞いてたのに……
まさか普通に『掃除しろ』ですよねー!みたいなコト言われるとは思わなかった!!
そして無視!!!!!!
「………とりあえず……掃除するか」
人間世界を散らかす気はないから俺はパチンと指を鳴らして掃除機を魔法で取り出しその辺を掃除した
羽根が抜け落ちないように翼もしまっとこう
もう今は空飛ばないしな
「うん、コレでいいかな」
綺麗に掃除してから俺は彼女を追いかけるように部屋を訪ねた
アパートは2階建てで彼女は2階の奥の端から2番目の部屋だった
彼女の部屋以外、1階も2階もどの部屋の窓も電気はついてない
もしかしてこのアパートには彼女しか住んでいないんだろうか
ピンポーンがないから俺は1部屋だけ明かりのついてるドアをノックする
「誰?って…………」
めんどくさそうな声でもドアを開けてくれる彼女は俺の顔を見ると目を見開いて少し止まった
「あっあの、俺…」
「誰ッ!?同じ顔とか気持ち悪ッ!!??
そんなに私を好きだからって私の顔に整形するなんて、許せない!!!!!!このストーカー!気持ち悪いわ!!!!!!」
また自己紹介できねぇ!!!!
しかも彼女はいきなり俺の首を絞めてきた
なんで!!??
この反応じゃさっきアパートの前で会った時は暗くて俺の顔はハッキリ見えなかったのか
俺からは外灯の光が当たった彼女の顔を見れたケド
「ちょっ…苦し……っ!?」
本気だよこの女!!??
ストーカーって思われてる!?
違うよ!!整形してないし!?
このままじゃ殺されると思った俺は瞬間移動的なコトをして彼女の手から逃れる
移動した場所は彼女の部屋の中だ
彼女の部屋はシンプルだった
必要最低限の女の子らしいピンクや白の家具とウサちゃんのぬいぐるみがあるだけ
俺が想像する女の子の部屋とは少し違うかった
女の子ってもっと可愛いものをゴチャゴチャ飾ったりして可愛い部屋なんだと思ってたケド…
彼女の部屋は可愛いものを好んでても必要なものだけ……
少し寂しさを感じる
「……消えた………?」
「………ココに…いるよ……」
息ができなかったさっきの苦しさを今の酸素が生き返らせてくれる
なんて乱暴な女なんだ
俺と同じ顔なのに性格は狂暴すぎるぜ
「俺は君にクリスマスプレゼントを渡しに天から来たんだよ
いきなり首絞めるなんてヒドイな!」
「不法侵入は犯罪だろうが」
「痛ッ!?」
蹴りを喰らった
泣いて帰りてぇよ!!
始めてのクリスマスで担当がこの女とかアンラッキーすぎる!!??
「警察呼ぶわ、ブタ箱で臭い飯でも食ってろ」
「わーーー!!??待て待て待て待ってよ!!!」
マジでスマホから110番しようとする彼女から取り上げる
「俺は人間じゃないから警察呼ばれても捕まらねぇぞ!!
今は君にだけしか見えないようにしてるしな」
「警察よりまず病院行ったほうがいいな、精神のほうの」
「どういう意味!!?」
言葉で信じてもらえないなら人間世界ではありえないものを見せればいい
そう考えた俺はもう一度翼を足に表せ広げて見せた
「コレ、さっきアパートの前で君も見ただろ
本物だぞ、コレで空飛べんだからな!!
俺が人間じゃないってわかってくれたか!?……っ痛ぇ!!!??」
今度は羽根をむしり取られた
翼は消すコトも出来るケド、身体の一部だからむしられたら痛いんだよ!!!
「本物みたいにフワフワで綺麗な羽毛ね
コレでお布団作ったらスッゴイあったかそう」
「!?」
この女!俺の羽根で羽毛布団作る気か!!?
すぐに翼を消した、恐いわ
「アンタが頭おかしい手品師ってコトはわかったわよ
手品で私の気を引きたいんでしょ
私の顔に整形までするくらい私に惚れてるストーカーさん」
俺の大事な羽根をふっと窓の外に吹き捨てるこの女は悪魔か
「違ぇよ!!!むしろオマエみたいな女嫌いじゃ!!!」
できるコトなら今すぐ帰りてぇよ!!
でも、クリスマスプレゼント渡さなきゃ帰れないし…
さっさとこの女にクリスマスプレゼントして帰ろ
1分でもココにいたら今度は何されるか
始めてのクリスマスで始めての人間がコレって恐いだろ!!トラウマになりそう
「俺はオマエにクリスマスプレゼント渡しに来たんだよ
渡さないと帰れないからな」
「なんの罰ゲーム?」
言われてる意味がわからねぇ!!
俺は魔法の袋に手を突っ込んだ
この袋からは相手の1番ほしいものが出てくる
聞かなくても出てくるからスゲー便利で簡単なコト
「ほらよ!コレがクリスマスプレゼントだ!!受け取りやがれ!!」
魔法の袋から手を出して彼女に突き付けるが…
あれ?俺の手には何もない
「空気?ナメてんの?」
「はっ!?おっかしいな…」
もう一度、袋の中に手を入れてみるが何も掴めない
袋を逆さに振ってみるが何も出てこない
袋の中を見てみるが空っぽだ……
何この魔法の袋?不良品?もしくはただの袋?
それか……
「む~………アンタのほしいものって何?」
この女にはほしいものがないのか…?
「お金」
さっきまで俺を虫ケラでも見るような顔をしてたのにその台詞を言う時はニッコリ笑顔だ
クリスマスプレゼントに現金5兆円とか言う女コイツくらいじゃねぇのか…
まぁこんな誰が見たって貧乏ってわかるオンボロアパートに住んでんだから金がほしい気持ちもわからなくはねぇが
お金か…本当にお金が1番ほしいものなら魔法の袋から相手が望むだけのお金が出てくる
でも、彼女の口から聞いても袋からは1円も出て来なかった
「物じゃなくてもいいわよ
クリスマスプレゼントとして世界征服してくれてもいいし」
「できるかアホ女」
アホ女って言ったらどつかれた
世界征服なんてしたらマスターに嫌われるだろうし、まず俺にそんな力はないっての
困ったな…1番ほしいものをプレゼントできなきゃ帰れないのに……
相手のほしいものが何でも出てくる魔法の袋があるのにクリスマス1日2日過ぎる奴の意味がわからんとか思ってたケド
そうか…中にはほしいものが何もないって人間もいるのか
始めてのクリスマスにそんな人間に当たっちまうなんてな
「本当にほしいものってなんなんだよ
あるなら言ってくれ
俺はクリスマスまでに君が1番ほしいものをプレゼントしなきゃいけないんだ」
「同じ顔でも他人の見ず知らずの私にプレゼントなんて変な奴
ないわよ、私にほしいものなんて」
やっぱり…
「そもそも私はクリスマスって嫌いなの」
「……なんでだ?」
クリスマス嫌いなんて…人間って…よくわかんない……
俺が想像してたのと全然違う
クリスマスを楽しんでて、プレゼントを貰ったら笑顔で『アリガトウ』って言って喜んでくれるんだって
思ってた…その顔を見るのが想像しただけでも楽しみで嬉しかったのに…
「………プレゼントなんていらないから帰れよ」
「えっ俺はプレゼントできなきゃ帰れないから困るよ!!」
彼女は俺を玄関まで押し出して
「知るかそんなの!!
私はオマエの意味不明な遊びに付き合ってやるほど優しくねぇんだ!!」
外に追い出されドアに鍵を閉められてしまった
さっきの彼女は…怒ってたケド……ドコか悲しいような寂しいような感情が混じってたような気がする
「あっぁ……追い出されちゃった…………」
ムカつく女だったケド…嫌いだって言っちゃったケド……なんか本気では嫌いになれない子だったな
同じ顔だから…?違う……
何度かドアをノックしてみたケド、彼女は返事もしてくれない
ダメか……
どうしよう…本当に困ったぞ
しかも寒いし……
プレゼントできなきゃ帰れない俺はこの寒いアパートの廊下で彼女が出て来るのをボーッとしてなきゃなんねぇのか……?
軽く凍死できるぞ!!!!!!!!!!
とりあえず俺はドアを背にして座り込んだ
「寒い………」心も寒いわ
「苦戦しているようだな」
寒い中でウトウトしちゃう凍死寸前の俺の前に現れたのはリジェウェィさんだった
「ん…?ハッ!?リジェウェィさん!?なんでココに!?」
「様子を見に来てやったのだ
こんな所で野宿などせずともいいのだぞ」
どうやらリジェウェィさんはもうクリスマスプレゼントを渡して終わったみたい
そして、何も知らないだろうと思って俺に教えに来てくれたんだ
マスターの所にはまだ帰れない俺だケド
人間世界には俺達が寝泊まり出来る場所があるんだって
「腹も減っただろう、行くぞ」
差し出してくれるリジェウェィさんの手を掴む
「うん、お腹空いた」
スゲーヘコんでた俺だったケド、リジェウェィさんが来てくれて嬉しかった
しかも野宿しないでいいみたいだしな!!!
-続く-
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