或る旅人の変人帳
あおろま
プロローグー旅人の日記の冒頭ー
私は名もなき旅人。あてもなくこの世界を漂流している。目的は特にないが、風変わりな人を探し、その人の物語を収集している。だから人に名乗る名前はないが、人に名前を聞かれたときは「物語の
最近の世は皆機械の歯車のようで画一的にしてつまらない、私の話を聞くとそうぼやく老人が往々としているが、なかなかどうして奇妙奇天烈で面白い者というのはいつの世にもどこにでもいるものだ。いやむしろそういった者は最近増えている気さえするものだ。とはいえ中々礼儀や良識を欠いた者が多いのが実に嘆かわしいわけでもあるのだが。
これは私の漂流の旅の記録である。だが私は物臭であるから、毎日は記録を残せない。だからここには奇妙な人々と出会ったときに書き留めるくらいだ。この伝記を紐解く諸君はそのことを頭に入れた上で読み給え。そして興味を持ったならば今一度諸君の周りをつぶさに観察してみ給え。なぜなら一見当たり前に思っていたことも熟考すれば不可解なことであることは往々にしてあることなのだ。
最後にこの伝記に書かれていることは極秘である…ことは一切ない。この伝記のことを民衆に吹聴するのは諸君の自由だ。そしてこの伝記に記された人々は皆変人ながらも哀しみや矛盾など、様々なものを抱えている。私はそれらを救済することはできないが、もし諸君に物語を紡ぐ力があるならば、彼らを救済する結末を熟考し、彼らを救済する物語を示して欲しい。
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