ケンちゃんと不思議な森の木

@tachibanayuusuke

第1話

僕は森で迷った。

小リスを見つけた。それを追いかけらているうちに森の奥へ奥へと

入ってしまった。

きっと駐車場では両親が心配していると思う。


小リスを追いかけていると、とてもとても大きな木に出会った。

小リスはその木の中に入ってしまった。

驚くことにその木には大きな扉が付いていた。

取っても付いているので開くこともできそうだ。


私はおそるおそるその扉を開いた。

中は意外に明るい。

「ケンちゃんようこそ、奥の部屋にどうぞ」と手紙と机の上に矢印が書かれている。

何で私の名前が分かったのだろうかととっても不思議だった。


でもあまり深く考えないようにして、矢印に示された扉を開けた。

そこはほんのり明るくて、部屋の真ん中にはちょっと大きめのシーソーが置かれている。


その上に「シーソーに乗って、ルミちゃんの知り合いや、何かモノを思い浮かべてごらん」

そう書かれた手紙が乗っている。


私はまずママのことを思い浮かべた。


そうしたら反対側の椅子にママが表れて

シーソーがゆっくりと動き始めた。

私が下に下がって、ママが上に上がった。


今度はパパのこと考えた。

シーソーは同じような動き方をした。


次は彼女のルミちゃんのことを思い浮かべた。

やっぱりトムの方が上に上がった。

今度は「ニキビ」を思い浮かべてみた。

そしたら僕の方がシーソーの下に下がった。


楽しくなってきたので、愛犬チャーリーや、親友のジェーン、いろいろな人やモノを

思い浮かべてみた。


シーソーは上がったり下がったり大忙し。

今度は思い出を思い浮かべてみることにした。


「パパとママと海水浴に行ったこと」「彼女のルミと初めて手をつないだこと」「キャンプファイヤーで軽いやけどをしてしまったこと」などなど、いろいろなことを思い浮かべてみる。


どうやらこのシーソーは、自分が大切にしている人やモノを思い描いた時は、それが上に

くるようだ。「ニキビ」などいやなことは

その逆に下にくる。


あまりにも面白かったので、かなりの時間をそこで過ごした。


「あっ、そうだパパとママがきっと心配している」

そう考えたら急いで帰らなくちゃという思いになった。


次の部屋のドアの前にやはり一枚の紙が置いてあった。


「もう帰りたくなったら右側のドアを開けてごらん」

「次の部屋に行きたいのだったら左側のドアから入ったらいいよ」


「どっちを選ぶかはトム君が好きなほうを選ぶがいい。


ただ一つだけ約束して欲しい。

それは決してこの部屋のことを誰かに話さないことだ。

パパにもママにも内緒にね。

じゃあ好きなドアを選んでごらん。」


そう紙に書いてあったので、右側のドアを開けることにした。

左側のもっと先に進めるドアにも行きたかったが、パパとママが心配しそうなので我慢した。


ドアを開けると小さなペンダントが机の上に置いてあった。

その横の紙に「また今度ここに来たくなったら、そのペンダントを付けて、ケンノヘヤヘイク」と呪文を唱えてごらん。また、前のシーソーの部屋に戻れるから。じゃあねバイバイ、楽しかったよ」と書かれていた。


そのペンダントと紙を握りしめて、しばらくして気が付くと、駐車場に止めてあった車の後部座席に何事もなかったかのように座っていた。


パパとママは前の席にいる。

「さあ、そろそろ帰るぞとパパ」

車は動き始めた。


あれはいったい何だったのだろう。


不思議なことにケンちゃんの首にはあのペンダントが付いていた。


それを右手で握りしめ、また今度行ってみようと思った。


ケン君は何だかわくわくした気持ちになってきた。




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