第6話

 2月、春休みが始まった。


 さとると飲みに行って、志帆とのことを話した。周囲の人に話すのは初めてだった。


 志帆のことが好きだけど、どうすればいいかわからない。客観的な意見を聞いてみたかった。




「それさー、いいように扱われてるだけじゃねえの?」




 悟とは同学年で、学科も同じ。講義で隣になり、意気投合した。体格は自分よりひと回り大きく、ふわりとパーマをかけている。銀色のピアスをつけていて、洒落たことが好きなやつだ。




「やっぱそう思う?」



「うん。」



「だよねー。」



「そーいやその先輩の彼氏、浮気してたって聞いたぞ?」



「え、そうなの?」



「え、知らなかったのかよ。」



「うん。知らなかった。」



「まあ、俺も噂で聞いただけだけど。クリスマスも浮気相手と一緒にいたって。」



「そうなんだ。」



「まあその元彼は卒業だし、お前にとってもよかったんじゃねえの。」



「うん。別れたって聞いてからちょっと頑張りたいなって思った。」



「そっか。俺もその先輩のことはよく知らんけど、まーせいぜい頑張るんだな。」




 それからはたわいも無い話をして、居酒屋を後にした。






『また飲もーよー』


『いいですよ、いつにします?笑』


 志帆とのLINEはずるずると続いていた。

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