将棋を指して、書いて、また将棋を指す(打つ、じゃないぞ

やかん

初手・新春お好み将棋対局2018

 前々から思っていたが、伊藤かりんさんの将棋に対する態度が素晴らしいことが改めてわかる番組だった。新春お好み将棋対局は毎年ペアマッチをやってるようだ。今年は女流棋士と小学生のペアが3組、それに加えて将棋フォーカスチームとして伊藤かりんさんと山崎8段のペアを加えてのトーナメント戦だった。


番組の時間を鑑みてか対局のルールは割と珍しい一手20秒の早指し対局。プロである棋士4人は適応に苦しむことはないが、アマチュアだと内容が荒れても無理のないルールだ。しかし結論から言うと全3局(千日手による指し直しを含めると4局)、どれも好局だった。


 小学生3人はかなりの腕前でアマ4段に近い実力が感じられたし、まあ毎年そう言う人選がされているだろうからこれは予想できた。しかしそれだけに際立ったのはかりんさんだ。実力で小学生に見劣りするのははっきりしていたが、山崎八段の力もあるとはいえ失着らしい失着を最後の最後以外なかった。最後は「詰ますしかない」という局面で時間に追われて頓死(自玉が詰まないのに指し手を間違えて負けにすること)になってしまったが、早指し故ご愛嬌、というレベル。詰みが十分ありそうな局面に最後まで持っていける実力、二十歳前後で将棋を初めて、アイドルの仕事の傍らに将棋の勉強に取り組んだことを思うと、仕事という枠を超えて、アマチュアとして将棋をの楽しみ方を知っている人がアマチュアに将棋の面白さを伝えている。この当たり前のことを当たり前に行われている平凡な現状を一将棋ファンとしてとても嬉しく思った。


 あやかって、私の文章も当たり前で平凡に〆たい。伊藤かりんさんにはこれからも頑張って欲しい。それにこういう平凡さなら大歓迎だ。この辺は将棋と一緒かもしれない。将棋も普通の手が良い手であることが多い。例えが実際に合致するとは限らないが、この場合はかりんさんの平凡さを得難いものだと思う。

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