ブラック・ドラグーン
石田未来
プロローグ
時は大陸ユリウス暦1457年アルカディア大陸では数多国がひしめき群雄割拠していた時代。
その頂点は「五大国」と呼ばれ五つの大国であった。
そしてその「五大国」の中で強力な力を持っていたのはヴランドール王国。
彼の国は
特に漆黒の銃に、漆黒の重厚な鎧に身を包んだ
人々は彼に恐れと尊敬の念を込めてこう呼んだ。
――漆黒の竜騎士――
――それは突然で衝撃的であった
シルクのように柔らかく美しい白い肌、見るものを魅力しながらも、相手を寄せ付けない薔薇ような美しい深紅の髪。
毛先は少し癖があるものの、それをひとつにまとめて降ろしており、少女でありながら大人の魅力を帯びているようだった。
そして透き通ったアメジスト色の瞳。その瞳の美しさに引き込まれそうになっていた。
ただし忘れてはならない。今彼にとってはとんでもなく危機的な状況であることを…。
「あ、あの…。なんていうか…。ごちそうさまです。」
「へ、へへへ…へんたーい!!!!どこ見てるのよぉ!!!?」
覗き魔に己の肢体を見られ慌ててバスタオルで身体を隠した。顔は赤くなっており、恥じらいを見せていた。
しかしながら、その表情も可愛らしく画になるものであった。
あまり騒がれるものだから、慌ててドアを閉めた。密室にほぼ全裸の女子と男子が二人だけいた。
「と、とりあえず落ち着いてくれ!!これにはわけが!!」
「な、何をする気よ!?まさかいやらしいことをする気!?」
「しないって!!俺の話を聞いてくれ!!」
ドアを閉めたことがかえって相手に不安を煽ることになってしまった。そのせいで話なんてまともに聞いてもらえるわけがない。
彼女はレイドを睨みつけて、着替えの側にあった銃を彼に向けた。
「変態成敗変態成敗変態成敗へんたいせ〜ばぁ〜い!!」
「うぉお!?まて!!そんな物騒なもの向けるな!?」
レイドは手を挙げ銃口を向けている少女の説得を試みた。距離が距離だけにまともに食らったらまずただでは済まない。
命の危機を感じた彼は引き金を引こうとする彼女の銃を奪おうと行動を起こした。
「な、何するの変態!?その手を離して!!」
「とりあえずこの物騒なやつを置いて話し合おうって言ってるの!!」
彼女の右手に銃、左手はバスタオルを掴んで肢体を晒さないようにしていた。少し汗がにじみ出ていて、また一段と色っぽくなっていた。
しかし、今はそんなこと言ってはいられない。今は命がかかっているのだ。
そんな時、彼女は右手に意識が行き過ぎて足元の籠にまで目がいかなかった。
「きゃぁぁ!!」
「うぉお!!」
足元の籠にぶつかり二人はバランスを崩した。このままでは彼女が下敷きになってしまう。
一瞬の判断だった。咄嗟に彼女の身体を両手でしっかり掴み、己の身体を大きく翻してレイド自ら下敷きなった。
「ぐっ。大丈夫か?」
「うっ…。なんとか…。」
レイドに抱かれるような態勢になっていたが、そのおかげで怪我をせずに済んだ。
起き上がりマウントを取ったような態勢に気づいた彼女はその羞恥から慌ててレイドの身体を突っぱねて立ち上がった。
だがそれが良くなかった。両手を使ったことによって自分の身体を包み込む布を抑えるものが何もなかったのだ。
彼女の美しい肉体を隠していた布はハラリと時がゆっくりと流れるように下へと落ちていった。
その結果、レイドはまたしても、いや、今度はじっくりとその綺麗な肢体を真近でじっくりと拝むことができた。
一方の彼女は自分の致命的なミスに気づくものの、もう既に遅かったのだった…。
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