第2話 中途半端に時代劇

「誰!?」

すかさず後ろを振り向くと、一匹のジュエモンらしき生き物がいた。6つの宝石をまとっており、1つの大きな宝石を持った可愛い生き物は、まさしく「ジュエルモンスター」を主張しているような見た目。そいつは僕と目を合わせるとすぐに、

「お主だ!拙者が求めていた人間は!」

と叫び、虹色の光線を僕に当てた。

「石装完了でござる。今日からお主は、拙者のジュエモンでござる。宜しくお願いしま候。」

中途半端に昔の言葉でしゃべるそいつは、勝手に僕を石装させた。確かに石装者になるのは夢だったが、石装は戻すことができない。ジュエモンは一匹しか宿せないから、実質石装は一生に一回しかできない。いくら石装を望んでいたって、こんなのは御免だ。すかさず文句を言おうとするが、良く考えて見れば、石装は基本的に強くなるためにある。ジュエモンによって特殊効果は異なるが、ちゃんとした効果なら結果オーライというわけだ。

「あの、すみません。あなたの特殊効果は何ですか?」

「そうだな...拙者、ジュエリンクの特殊能力はこれでござる」

ジュエリンクと名乗るそのジュエモンは、僕の左腕を指差した。見てみると、黒い石のような物が付いていた。形は細長い六角形で、左上には剣のマークが付いたボタン、右上には鎧のマークが付いたボタン、左下には魂のようなマークが付いたボタン、右下には矢印のマークが付いたボタン。そして中央には、外郭と同じ形の六角形の穴があった。随分とゴチャゴチャした見ためで、小さい頃テレビで見た戦隊物の変身道具みたいだった。

「これが...能力?」

「うむ、少し色々説明させてもらうでござる。しっかり聞くでござるよ。」

ジュエリンクとかいうやつが説明してきた内容は、纏めるとこうだ。


1.ジュエモンは、自分の魔力を使い、ジュエルを作ることができる。

2.ジュエルはモンスターによって異なるが、形は同じ六角形。

3.今シリウスが付けている石は、ジュエルチェンジャーという。

4.ジュエルチェンジャーにジュエルをセットすることで、そのジュエモンの力を使う事ができる。

5.ジュエルはいくらでも持てる。

6.ジュエリンクの特殊能力は、ジュエルチェンジャーを使えるようになるということ。


「えーとつまり...?普通の石装もジュエモンの力を使うものだけど」

「気付かないでござるか?普通石装は一回しかできぬ、つまりジュエモン一匹の力しか宿せないのである。しかし、ジュエルチェンジャーを使えれば、持っているジュエルの数だけジュエモンの力を宿すことができるのでござる。」

つまり、上手くこの力を使えば、沢山のジュエモンを宿す事ができるというわけだ。これは嬉しい石装だ。

しかし、タダでこんな能力を貰えるわけがない。ジュエリンクは交換条件を提示してきた。

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