牛乳戦隊みるれんじゃー
香枝ゆき
プロローグ ある白い建物の中で
静かな病室。陽の光が白い壁を美しく照らしている。その個室で、一人の少年がベッドに横になっていた。
「幸せだ~。」
と、まるで天国に行ったかのような表情をしていた。
もちろん少年は死んでいません、生きています。そこ、お間違いなく!
少年は見た目が小学生に見えるほどの低身長だが、ネームカードには、18歳 男と書かれている。病院に入院して幸せもなにもないだろうが、彼にはそういうだけの理由があった。それが個室を選んだ理由でもあるのだが。
廊下を歩くどたどたどたという音に顔をしかめたあと、少年はベッドからがばりと起き上がる。が、逃亡するには間に合わなかったようだ。
「こーんにーちわ~!!」
ばんという騒々しい音とともに4人組が現れた。紅彦はみるからに嫌そうな顔をする。
「てめえら、何で来やがった。俺は病人だぞ……」
その恨み節を彼等はものともしない。
「お見舞いに決まってるじゃない」
そういうのは桃色のランドセルを背負った少女。
「大体神経性胃炎なんか病気じゃないって」
お見舞い牛乳(瓶にはファーム牛飼の文字)をドンとおくのはセーラー服の女子高生。
「まあこれからも遊びに来るから」
制服姿の中学生。
この面子をみておなかを押さえる紅彦にむかってモノトーンの私服がぽつり。
「あきらめろ」
中性的な顔立ちの人間の強烈な一撃が入った。
「……もう、なんで……」
牛飼紅彦の日常は、変わらない。
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