第160話 29.ヴァルプルギス村
長かった!
遠かった!
聖なる剣が刺さっていたサラクチェの木を通り過ぎ、ヴァルプルギス村が見えてきた!
懐かしい…。
私が育った村…。
「ところでベルギウス、ヴァルプルギス村は強力な結界が張ってあって、村人しかはいれないと聞いたことがあるのだが。」
「それなら心配無用さ。
コルネリア王様からの勅令をもらってあるのさ!
これを見せれば、入れてくれるだろ。」
●●●
村の正門に到着すると、見張りのエルフ二人が杖をこちらに向けて、何かあったら攻撃呪文をいつでも唱えられる体勢で待ち構えていた。
「とまれ!ここはヴァルプルギス村だ!
よそものは村へ入れる事はできない!」
「僕たちに攻撃の意思はありません!
コルネリア王の勅令があります。
村長様と話をさせていただけないでしょうか。」
「そこの獣2匹!お前たちはその場にとどまれ!
人間!一人でその勅令をもってこい!」
獣とは失礼な。まぁ獣だけど。
エルフ二人は、その勅令をつかむなり、一歩後ろに下がり、村の境界の中に入った。
「たとえ王の勅令があろうと、人間と獣を我が村へ入れるわけにはいかん!
立ち去れ!」
そういうなり、エルフは王の勅令をビリビリに破いたしまった!
「お、お前、王の勅令を破くとはなんと無礼な!」
それを見たドミニクはエルフ二人に襲いかかった!
ところが、村の境界あたりで見えない何かにぶつかって、弾き飛ばされてしまった。
「目に見えぬが結界が張ってあるのだ!
村人と同時に入らなけば、その境界は越えられまい。
立ち去れ!何度も言わせるな!」
「ちょっと待て!この紫マントとコルネリア王国の紋章が見えないのですか!
僕はコルネリア王国の大臣ベルギウスです!」
「馬鹿を言うな!
コルネリア王国はエルフの国!
人間が大臣、しかも汚らわしい獣2匹をつれて来るなど、我らを馬鹿にするのもいい加減にしろ!」
騒ぎを聞きつけたのか、ヴァルプルギス村の男たちが集まってきた。
壮太君が境界のあたりに手を伸ばしてみる。
確かに見えない壁のようなものがあるようで、それより先には、やはり指一本越えられないような感じだった。
村人達だけが自由に出入りできる結界なんだ…。
子供のころは、何も考えずにこの門を出入りしていたけど、不思議だなぁ…。
あれ?ちょっとまってよ?
私も一応、ヴァルプルギス村の村人だよね?
しばらくぶりだけど…。
もしかして…
そっと、結界の張ってある境界あたりに手を伸ばしてみる。
な、なんともない…。
は、入れた!
「な、なんてこと!」
「獣が結界を破ったぞ!!!!」
「獣が侵入した!!!!!」
村人たちは大騒ぎだ!
壮太君とドミニクさんも、続けて村の中に入った。
「僕たちに攻撃の意思はありません。
どうか村長様とお話をさせてください!」
遠くの方から金縛りの呪文がいくつも飛んできて、私たち3人はあっという間に身動きがとれなくなってしまった。
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