第143話 12.斬って斬って、そして斬りまくった。

 聖なる剣を装備した!



 どうしてこの私が聖なる剣を入手できたの?!


 勇者しか抜けないはずなのに?



 でも、感動したり理由を考えている暇はない。



 ゴーストモンスターが毒針の射程圏内まで近づいてきていて、今にも毒針を撃とうとしていた。


 「えぇぇい!」


 思い切って、剣を振ってみる。


 ゴーストモンスターは簡単に真っ二つになり、消えてなくなった。


 

 倒せる!



 サラクチェの木の下で、私はモンスターをった。




 斬って斬って、そして斬った!



 倒しても倒しても、モンスターは現れてくる。


 これじゃ、倒しても逃げてるだけでも、あまり変わらないのでは。



 いったいいつまで、続くの?!


 そうだ、夜明けまでだ!


 闇属性のモンスターは太陽が昇っているときは、エンカウント率がとても下がる。


 

 毒が回った体で、朝までもつか!


 でも逃げているよりかは斬った方がダメージを食らわない。



 斬るしかない!



 斬って斬って、そして斬った!

 


 どうして……。

 

 どうして!?


 どうして!!!


 なんでなの!!!


 なんで私ばっかりこうなの!!!



 生贄にされて、なんとか生き残ったと思ったのに!


 あんなに仕事頑張ったのに、どうして認めてもらえないの!


 嫌な仕事でも、どんな時も、苦しくても頑張ったのに!


 監督に演技が下手って大きな声で、みんなの前で怒られても、へこたれずに頑張ったのに!


 どうして仕事が入ってこないの?!


 全部Kaoriちゃんの方に行ってしまっているの?!


 どうして大好きな壮太君はあんな目にあってしまったの!


 壮太君からバスケを奪うなんて、ひどすぎる!


 壮太君がバスケできなくたって、車いすだって、側にいたいのに!


 どうして側にいさせてくれないの?!


 壮太君!私の事を好きって!


 一度でいいから、好きって言ってほしいのに!!!!


 

 私はモンスターを斬った。


 斬って斬って斬りまくった。

 

 斬って斬って、そして斬りまくった。




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