第80話22.罪悪感 〜シルヴィオを追い出した。これからはティファニーとずっと一緒にいられる!ティファニーは僕だけを見てくれる!なのに…〜


「ベルギウス…お前若そうに見えるけど、現実世界では寝たきりなのか?


 目覚める事なく?」


「はい。そうなんです。


 両親が生命維持装置を外すと決めれば、僕はあちらの世界でも、こちらの世界でも死ぬことになります。


 まぁ、そう長くはないでしょうね。この異世界で最後まで人生を楽しもうと思っています。」


「お前は、まだまだ若いじゃないか…それなのに…。」


「シルヴィオ様、僕の心配は無用です。


 どうか気にしないでください。もうそれが僕の運命だって受け入れているんです。


 それよりも、体調が悪いなら、シルヴィオ様も危ないです。


 僕のようになる前に、本当にお香を使うのは辞めてください。手遅れになる前に…。」



 シルヴィオは難しい顔をしていた。


 ティファニーの事を考えているのだろうか。



 次の日、ティファニーはすごく元気に帰ってきた。


 やっぱりティファニーは泣いている時よりも笑っているときの方が良い。



 ティファニーが笑っていると、周りの空気迄がキラキラ輝いているのではと思ってしまう。


 でも、そんなティファニーの目に、僕の姿は写っていなかった。


 シルヴィオに抱きつき、シルヴィオだけを見ていた。



 僕が送った手紙は全く無視なのか…。


 鳩は時々ちゃんと手紙を届けない時があるから、もしかしたら届いていないのかもしれない。



 その日、シルヴィオはティファニーと長い時間話していた。


 何を話していたのかは知らないが、次の日の朝、置手紙があった。


『俺がこの世界で生きて行けたのはお前のおかげだ。


 お前がいなかったらとっくに死んでいた。


 忠告通り、俺は現実世界で生きていくことにした。


 お前には感謝の言葉しかない。


 ティファニーの事を頼む。』


 僕はシルビィオをこの世界から追い出す事に成功した!



 僕は悪い事はしていない。


 お香を使い続ければ、なんらかの不調が絶対に現れるはず。


 シルビィオはかなりな本数を使ったようだから、奴のためにも、異世界には来ない方がいいんだ。



 でも僕の心はどうしてから晴れなかった。


 不要な奴がいなくなり、これからティファニーと2人の時間を過ごせるはずなのに。

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