第66話08. 謎の男現る 〜僕は呪われすぎてしまった。もう現実世界には帰れない。そんな時、ある人が現れた。〜
僕は一週間後、いつも通り異世界にやってきた。
アガサが亡くなり、マルゲリータがかなり落ち込んでいたから心配で、一週間がやけに長く感じた。
マルゲリータの様子が見たく探したけど、どうやらいないようだった。
フローマーがやってきて、手紙を見せてくれた。
「王命を受けて、ツークシュ山に出たモンスター退治に行ってくる。
しばらくは戻って来れないと思う。マル」
マルゲリータは毎朝、仕事だと言って王宮に出かけているのは知っていた。
アガサが教えてくれたのだが、王様が一番信頼している部下で、頭が良かったので、戦争の時は戦略参謀として、魔術も強かったので攻撃の戦力として、大活躍したとの事だった。
魔法が使える普通のおばさんと思っていたが、実は結構すごい人のようだった。信じられないけど。
「フローマー。しばらくは二人きりだね。仲良くやろうな。」
「にゃーん。」
僕は、マルゲリータがいないのを良い事に、毎日異世界に来た。
黒魔術の勉強もしたけど、街に出かけていろんな物を見るのも楽しかった。
お香はあっという間に無くなって使い果たした。
お香のつくり方を知っているから、作ろうかとも思ったが、その必要はなかった。
現実世界の僕は、もう目を覚まさない。
マルゲリータがお香を使いすぎると、気力を全て吸い尽くされて死んでしまうと言っていたが、現実世界の僕の体は気力を吸い尽くされた。
僕の両親は僕を病院に入れ、点滴やら何やらで無理やり僕を生かしている。
だから僕は現実世界で死んではいない。
生きているから、異世界でこうして居られるのだ。
現実世界に戻らなくていいなら、僕はそれで構わなかった。
そんな状態になり、黒魔術の勉強も疎かになった。
僕の目的は、異世界に居続ける事だったが、僕の意に反して、願いは叶ってしまったのだから。
黒魔術の勉強という目的を失ってしまった僕は、ただ無駄な日々を異世界で過ごしていた。
現実世界とあまり変わらなくなってしまったけど、何しろ歩けるし、ここ異世界では僕が落ちぶれたスーパースターである事を誰も知らないから、自由で気が楽だった。
現実世界で生きるよりかは、何倍も良かった。
そんなある日、自分の机の上に魔術書が置きっぱなしになっていたので、元に戻そうとマルゲリータの書斎に入った。
すると、誰もいないはずなのに、知らない人が立っていた。
突然現れたこの男はいったい誰?
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