第47話 マルゲリータの死去〜王国で1番の賢者…ありとあらゆる白魔術をかけてみたけど…〜

『愛に満ちたるエルフ神よ、火、水、風、木、全ての精霊をここに集めん。

火の精霊よ、その炎の熱で、凍てつく者を温めん。

水の精霊よ、清らかな水にて、汚れた者を浄化せよ。

風の精霊よ、痛みの元となる素子を束縛し、吹き飛ばさん。

木の精霊よ、みなぎる木の生命を、怪我で苦しむ汝に分け与えたまえ。

我が祈り、コルネリアの輝きとなりて、苦しむ汝に加護を与え、救いたまえ。』


 ティアナが白魔術を唱えている声が聞こえ、目をつぶっていても分かるほど、まばゆい光が自分の周りに降り注ぐ。


 ふんわりと暖かさを感じ、私は起き上がった。


 ティアナが私に白魔術をかけてくれたんだ。


「ティアナ、ありがとう。なんだかよく寝た気分…。」


「ティファニー、今はのんびりできる時じゃないのよ!大変なのよ!


先発隊のマルゲリータ様のパーティが発見されたのだけど、今はみんな死んでしまっているわ。


 蘇生と回復に分かれて、白魔術をかけないとっ。」


 急いで、先発隊の所にいくと、9人が並んで寝かされていた。



 一番大怪我なのは、賢者の服装をしている女の人だった。


 この人が、マルゲリータだって一目でわかった。


 恐ろしい事に、体の半分が無くなっていた。


「ティファニー!母さんはさっきまで話していたんだ!回復できるだろう?蘇生できるだろう?」



 私は蘇生の白魔術は使えないけど、習ったことはある。


 蘇生はあまり体の損傷が大きいと効果はない。


 失った体を戻すのはなかなか難しく、20%以上体の部位が無くなっていると、そこから先は難しい…



 さっきまで息があったという方が、不思議なくらい。


 おそらく、自分で自分になんらかの魔法をかけていたんだろうな…。



 どんな種類の白魔術をかけたって、マルゲリータ様の蘇生は難しいと思う。


 そう思っているのは、たぶん、私だけじゃなくて、白魔術師、全員がそう思っているはず…


 でも、私は大回復の魔法を詠唱した。



 ダメだとわかっていても詠唱した。


 相手は大賢者のマリゲリータ。


 もしかしたら、何らかの奇跡が起こるかもしれない。



 他の魔術師も、ありとあらゆる種類の白魔術を詠唱した。


 私は魔力が尽きるまで、魔法をかけ続けた。


 もう、魔法は出なかった。

 声も掠れた。


 体の損傷が激しく、みんながいろんな回復魔法や、蘇生術を施して見たが、どうにもならなかった。


 大賢者マルゲリータ様は、このツークシュ山で亡くなった。

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