第14話 ビーバー退治


 鳥型人獣の偵察により、俺が安全に肉眼でビーバーを見れる場所を探して来てくれた。


 想像以上に、ビーバーは大きかった。

 25メートルはあるだろう。

 

 根城であるダムも確認した。


 地形はすり鉢状になっており、一番低いところに川が流れ、その中にダムがあった。


 ビーバーは今日も水をせき止めるべく、木々を倒しては運んでいた。


 水の中に引き込まれたら、勝ち目はない。


 足の速い人獣に根城を少し攻撃させ、ビーバーを川の横にある少し平らな陸地におびき出し、指定の場所まで来たら、人獣には壁になってもらい、剣士で近距離攻撃、黒魔術と賢者で遠距離から攻撃魔法でいっきに倒すという作戦で良いだろう。


 白魔術はさらにその後方に配置し、全体を見渡せるところに配置することで、ダメージを受けた人を回復させよう。


 副隊長達とお互いの位置、攻撃する場所などを確認し配置についた。


 俺は、上を飛んでいる鳥型人獣に合図をおくる。


「ピーーーーーーーーーーー!」


 鳥型人獣が大きな声で鳴いた。

 全員に作戦の開始を伝える合図だ。



 イノシシ型人獣が、ビーバーの根城やダムを壊し始める。


 怒ったビーバーが現れ、イノシシを倒そうと追いかける。


 イノシシ達は、水場から離れた位置におびき寄せた。


 もう一度、俺は鳥型人獣に合図を送った。


「ピーーーーーーーーーーー!」


 攻撃開始の合図だ。


 火の魔法、水の魔法、土の魔法、いろんな魔法がいっきに、ビーバーの上半身を攻撃した。


 ビーバーは立ち上がると、かなり大きく迫力があった。


 イノシシ達4人がこれ以上前に出ないようにビーバーを押さえていたが、押され気味だ。


「斧戦士は防御に回れ!これ以上イノシシを前に出すな!!!」


 俺は攻撃をしながら戦況を見なければならない。

 戦士の中でも力の強い斧戦士達に指示を出した。


 壁の隙間から、剣士達が攻撃をしかけていた。


 下半身への物理攻撃、上半身への魔法攻撃、正直ビーバーにダメージを与えるようには見えなかった。


 ビーバーはなんの前触れもなく、いきなり、クルッと360度素早く回転し、尻尾で近距離にいた、イノシシと戦士達をなぎ払った。


 俺も含め、全員がダメージを食らったが、すかさず回復魔法が施された。それぞれがすぐに持ち場に戻った。


『白魔術師が危ない…下げさせて…』


 俺は不思議な声を聞いたような気がした。

 頭の中にひびく、そんな感じだ。


 ビーバーをみると、胸が膨らみ始めている。


「ティファニー!下がれ!下がれええええええ」


 俺は力の限り叫んだ。


 俺の予想した通り、ビーバーは口から水を勢いよく吐き出し、ティファニー達がいた後方にも攻撃をしたのだった。


 俺の目に、ティファニーが倒れているのが映った。

 俺の叫びは間に合わなかった。


 振り向くとビーバーの尻尾の攻撃がまた来た。


 俺は受け身を取る事が出来ず、もろにその攻撃をくらってしまった。



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