Living in Kyoto 編

第28話 閑話 その1 言葉責め

鉄之助は、夢を見ていた。そしてそれは過去の出来事のリプレイあった。

「助けてぇ…!」

男である自分がこれ程に人に情けない声をあげるのを鉄之助はびっくりしていた。

この男女の比率が壊れた世界に飛ばされて半年程かれは街で女に襲われて、逃げる事を繰り返していた。

「ヒィやっーはぁ!男だぁ!」

「遊ぼうぜぇ。兄さん!」

「嫌だぁ!コラぁ。なに帯を解いて.......る......離れろぉ!」

捕まえられ、サバオリを食らうような格好で

女から腰の後ろにある結び目がとかれていくのを感じて鉄はもがこうとした。

「お前たちで今日は5回目なんだぞ!近寄るな!」

「まだ1桁じゃねぇか」

「え.......?」

耳元で囁かれた言葉に鉄はポカンとした。

「桁が違うのさ。アタイたちは1人で10戦はヤれる女だよ」

(ヤバい!三連コンボ確定か.......)

細い路地に逃げ込んだのはいいが、先がなかった。行き止まりだった。

このまま犯される。廻される。そして口封じに殺される。

凶悪3連コンボが炸裂するのはゴメンだった。


「ううー.......んん.......」

京都の昼間に部屋でうなされる男を見ながら

お玉がニマニマしていた。

「おい。鉄さんがうなされてんぞ」

「呻く男ってなんでかそそるのよね」

「お前歪んでんなぁ」

お玉と美星がうなされている鉄をみながらつぶやきを漏らした。

美星も同じくニマニマしていたが。

「おい。アソコ.......立ってるんじゃねぇか?」

鉄の着物の股のところが三角形になっているのを彼女たちは見逃さなかった。

「うへぇ。ほんとだよ」

「良いもん見れたね。感謝感謝」

パンパン。

柏手を打って拝む。

「起こすかい?」

「いいや。ありゃ多分疲れ魔羅だ。寝かしてやろう」

疲れ魔羅とは、疲れた時、もしくは子孫を残そうとする生理現象の1つだ。

「疲れ魔羅は、仕方ねえ。男が疲れてる時に無理やりするのは粋じゃねえ」

「よう分かっとるやん」

後ろを見ると東春が正座をしていつの間にかいた。

「東女でも、男の機微は分かるんやな。関心関心」

「けっ。なにが機微だい。疲れ魔羅にはがっつかねえなんてのは女の基本だろ」

「それがそうでもないんやで。目ェの前に餌出されて我慢できるのは、そう簡単なことやおへん。女なら襲う。でもあんたらは自制してる。もう下はドロドロのはずやろ?」

「江戸っ子は我慢が売りだぃ」

「あんまり気張ると体に悪いで。奥の部屋2つ空いとるし、慰めたらどないや。今だけや」

東春が冷静に言う。医師としての助言だった。

「ちっ.......しょうがねえ」

精神的に耐えられそうにないのはお玉も美星も同じ。既に限界だった。誰かに言って貰わなければ鉄のテントから目が離せない状態だつだのだ。

2人は目を一旦閉じ、大きく息をはくとよろよろと腰を浮かせてたった。

「産まれたての小鹿みたいやな。奈良の鹿ににそっくりや」

コロコロと笑う女医。

「うるせぇや。女なら誰でもこうなるんだよ」

「分かっとるよ。襖閉めたるさかい。はよ行きよし」

「すまねえ」

こうして2人は奥の部屋に引っ込んで行った。

2人がいなくなってから鉄を見る。

「まぁ、相当疲れとるな」

遠目からでも分かる相当なたちっぷり。

「しゃあない。1度だけやで」

東春は呟くと1人で襖の中に入り鉄の耳元に呟く。

「ふにゃふにゃの中折れちん⚫やな。だっさぁいわぁ…」

続けて

「短小。包茎。子供ちん⚫」

一言事に鉄のテントが小さく萎えて行く。

脳へのダイレクトな言われたくない用語の効果ですっかりモノは小さくなった。

「だれでもこれは言われたないもんなぁ。くくくく。まぁ変態ではないんやな」

東春必殺の言葉責めだった。

この用語を言われて立ってるいるようなら

余程の精神力の持ち主か、マゾのどちらかである。

ここで仮に収まらない場合は、汚豚。萎えちん。あたしのお⚫⚫より小さいんやないの?女の子みたい。男辞めたらどないやろ?と続き、言葉のナイフが男のプライドを突き刺していく。

正に、再起不能。ED確定の言葉のコンボ。

恐ろしい口撃なのだ。心の傷はなかなか治らない事を東春は知っているからこそあえて、襖を閉めて事を行ったのだ。

お玉と美星がいたら反論される。反論されれば収集がつかなくなる。最悪、拳銃で頭を撃ち抜かれることも考えられた。

殺されない様に取った量得の手段。

言われた男も夢のなかの記憶だし。そう深く傷は残らない。女もメンツを保てる。

「さて、起こそか」

東春は扇を帯から引き抜くと、ペシりと強めに鉄の鼻を叩いた。

「!!」

鼻を叩かれた鉄は当然目を覚まして、

「あれ?.......東春.......先生?」

「遅ようさん。もう昼も過ぎとるよ。それと.......」

東春の目が横にスライドするのをみて鉄は慌てて前を隠した。

「守りがなってへんな。男ならもそっと寝姿には気ぃつけよし」

「すいません」

「分かればええ。男は食われる存在やけど、自分で護身はせなあかん。襲われる方もスキが多すぎる。ウチはそう思いますえ」

ぽつりと呟いた東春の意見に鉄は何も言い返せすことが出来なくなった。



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