ヒーラーで何が悪い!
秋月 椛
一話 失われた日常
何なんだよこれ・・・
ここどこだよ・・・
俺こと結城海斗はしがない高校に通う普通の高校生だ。
学校では部活に所属せず、成績も平均くらいだ。
読書はよくするが、読む本はライトノベルで一般文芸はあまり読まない。
やりたいことは決まっておらず、
今はただ漠然と平凡な日常を過ごしている。
そこら辺の大学には行く予定だが、大学卒業後の就職先は明確ではない。
中小企業に就職しようとは思っている。
それから30歳くらいで結婚して子供を作り、幸せな家庭を築き、平和な毎日を生きて生きたい。
そう思っている。
ある日、俺はいつも通り学校へ行き、
授業を受け、帰宅した。
「ただいま。」
返事がない。あれ?お母さん買い物にでも行ってるのかな?
リビングへ行くと、テーブルに書置きがあった。
海斗へ
今日の晩御飯の買い物に行ってきます。
おやつを用意しようとしましたが、お母さんが食べちゃいました。
ごめんなさい。でもそれは海斗にお母さんの料理をおいしく食べてもらいたいからであって、決しておいしそうだったからとかではありません。
信じてください。
お母さんより
「はぁ、まったくおかあさんはいつもこうなんだよな。」
俺のお母さんは悪い意味で天然というか
ひとがしない間違いをよくする。
この前なんかは麦茶と間違えて醤油を出されたことがあった。
俺も飲む前に気づけば良かったのだが、そのときはとても喉が渇いていたため、確認せずに飲んでしまった。
結果的に俺は麦茶もとい醤油を吹き出してしまった。
そのときお母さんに「汚いわねぇ」と言われて軽く殺意がわいたのを覚えている。
そんなことを思い出しつつ俺は念のために冷蔵庫の扉を開けた。
「うわ、本当に何も無いじゃん。」
お母さんの言ったとおり冷蔵庫には食べ物が何もなかった。
仕方なく俺は階段を上り、2階にある自分の部屋へ行った。
俺の家は一般的な2階建ての一軒家で、俺が産まれた時に買ったらしい。
家自体は割と大きいが、地価が思いの外安かったらしく、中流家庭のうちでも手が届いたらしい。
いや、そんなことはどうでもいい。
今日は何をしようか。
読みかけのラノベでも読もうかな。
最近は少し忙しかったから読んでないラノベがたまっている。
早めに消費していかないとどんどんたまっていってしまうからすぐ読もう。
そんなことを思いつつ俺は自分の部屋のドアを開け部屋の中に入ろうとした。
しかし、いつもならあるはずのなじみ深い風景が無かった。
目の前は真っ白で何もない無の状態。
そしてとてもまぶしくて目を開けるのが困難だった。
おそらくバ◯スを受けたム◯カはこんな感じなんじゃないかと思ってしまうくらいだった。
「なんだよこれ。」
あまりに突然の出来事で、くだらないことも考えられなくなってしまった。
ちなみにさっき考えていたことはくだらなくはない、決して。
そうしていくうちに気が付くと辺り一面が真っ白になっていた。
さらにだんだんと意識も朦朧としてきた。
「おい・・・嘘だろ・・・。」
そうつぶやいたのを最後に俺は意識が途切れた。
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