卓上のジンギスカン

@roast

第1話

「透、実はな、じいちゃんがいなくなったんだ」


それは15年前のお正月の夜だった。その日は親戚が集まり、皆で父が用意してくれたジンギスカンを食べていたんだ。当時16歳の僕には父が言ったその言葉をすぐには理解出来なかった。

「おじいちゃんいなくなったの?どうして?」

僕は父に聞いた。

「あぁ、認知症を患っているから、どこかへフラフラと出ていってしまったんだろう、今警察に連絡して探してもらっている、心配することはない!すぐ見つかるさ」

そう父は言った。

だが親戚は皆心配そうにしていた。僕もそうだ。おじいちゃんはいつも優しく、尊敬できる人だった。早く見つかるといいなぁ。当時の僕はそう思っていた。


それから20年、今でもおじいちゃんは見つかっていない。 近くの川からおじいちゃんが履いていた下駄が見つかったことから、川で溺死したんだろうという結果に至った。それももう随分昔の話だ。


現在、僕は妻と子供二人、それに両親と昔から住んでる家で生活を共にしている。おじいちゃんがいた頃から住んでる家なのでだいぶ廃れている。


そんなある日、僕は、家の横にある大きな倉庫で、昔使っていたコタツを探していた。大きなコタツで大家族の冬には欠かせない。

探していたら、倉庫の奥にブラウン管テレビほどの大きさの樽が目に入った。なんだろうか。おそらく昔、漬け物かなにかを作る際に使っていたものだろう。

僕はその樽に妙な違和感を感じた。

まるで、その樽に呼ばれているかのような、とにかく違和感を感じたんだ。

なんとなくその樽を開けてその中を覗いて見た。


そこには、、、




ミルク色の頭蓋骨と多くの骨が散乱していた。


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