十二月(四+一)日
「夜、夜をひとり、あの光はただ、ひとりをさがして歩く、ぼくもまたひとり、後ろを向くのは一本の木の枝の先のほうに灯る、藍色の、続かない星の点の数が、うつつを照らして、またひとり、骸骨の白よりも白く、木の上に立っている人もこちらを見て、歴史を振り返るのもまたいい」と、君は言った。
がっかりと寂しさを携えた獣の涙。ふれた瞳の奥に、蘇るあのころの感覚。さて君は、この血の色をしたなにかを、果たしてなにととらえ、またとらえなおすのか。ただじっと答えを待つ僕の喉元に一滴の水分が跳ね返り、それが辣腕の検索屋の頭に到達し、がやを聴く。
――山と谷。
闇夜にただ一匹たたずんでいて、まだその時はやってこない。
つらいときも、たのしいときも、いつもずっと遊んでいたような、かつての親友の顔が思い出せない。夢でも見ていたのだろうか。ぼくは振り返り、名前を叫ぶ。けれども、その声はただ一枚の空に消えていくだけだった。残ったものはこの身ひとつだけで、ふとしたときに聞こえるあの声も、きっとなにかの間違いのようで、ああ、やはりこの世界はずっと夜だったのだ。そんな結論にいたるのも早かった。
皆が息をひそめ、大多数が眠りにつく頃合いに目覚める、怪しげな数々の。鎮めるにはまだ早かろうか。いま、皆は何を思い、何を考え生きるか。ぼくの中で、なにとなしにまとまりつつあるのだった。 ――散文ともいいがたい雑文――
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