その手は憎悪に塗れて 捌


妖山は最近荒れていた

ゴウゴウと大きな音を立てて黒い雲が消えることなく蠢いている

細い雲がグルグルとまるで百足が山の上をうろついているようだ


??「最近は物騒ですな、街の者もここ数週間で何人も消えているそしてその消える場所の大半がここ妖山。ちょいと物資が少なくなったんで来ては見たものの数日でこんな変わるもんかね。」被っている深緑色のフードが夜のせいで黒く見える

??「嫌な空気が酷すぎる、さっさと物資を揃えて街へ行きますかな。」

左手首のリストバンドをそっと触り男はマントをヒラヒラさせながら木を降りて街の方へと走り姿を消していった


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イツキ「嫌な雲だな。」

妖山の頂上を見ながらイツキが鼻をスンスンして言った

柊「起きたのかな、アイツが。」

少し気を落としたように問いかけた

イツキ「それは俺も勘弁願いたい所なのだが…それも一理ある。」

柊「みんな大丈夫なのかな。」

イツキ「心配か?」

柊「うん、そりゃ心配するよこの前のヤツらだってあれだしさ。」

イツキ「また街へ様子見と情報収集でも行くか。」

柊「明日行く事は可能かな?」

イツキ「あぁじゃあ明日行くとしよう、その目も傷以外はだいぶ癒えたしな。」

柊「最近は彼岸花達も元気ないみたいだしね~。」床でゴロゴロしながらイツキにぶつかる

イツキ「俺にはあの花達の事はなーんにも分からないから何とも言えないな。」

転がって身体にぶつかってきた柊の顔に尻尾をフワリと乗せる

柊「うぐっまたそうやって意地悪な事言うんだから。」

外の彼岸花は変わりなくユラユラと揺れている

でもどことなく…気のせいかもしれないけれど前より

数が増えてる様な気もしない??

中から外の彼岸花を見つめながら柊は疑問に思っていた

何でイツキだけ嫌われてるんだろうか

悶々と頭に疑問がよぎるしかし考えても答えは出てこない

そう目が覚めた時から柊とイツキとこの花達が傍に居たから

何の疑問も持っていなかった

いざ考えてもサッパリである

柊「やっぱり考えるのやめよ。」

イツキ「何がだ?」柊「こっちの話し~。」

尻尾にペシペシと叩かれながら柊は結局また答えを出せずにいた


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