あの日から刻は動かず 拾


柊「ザキさんいくよ~。」

ザキさん「無理、眠い、倒れる、死にそう、眩しい。」

柊「目のリハビリ手伝ってくれるって言ったじゃないか…。」

ザキさん「昼間なんて聞いてないぞ!」

工場廃棄の外で2人がギャーギャー騒いでいる

柊の左眼が開くようになったので手合わせという形でリハビリ最中らしい

イツキ「あれはあれでリハビリになってるんじゃないのか?」

蒼「僕も同感だと思います。」

蒼はイツキと沢山の彼岸花に囲まれた中でその様子を眺めている

蒼「にしてもこの彼岸花枯れないのが凄いですね~。」

イツキ「いや、俺がこの上を歩くと枯れる。」

そう言いながらイツキは彼岸花の上を歩いて見せた

するといつものように彼岸花は無惨にも枯れていく

蒼「うわ、本当だなんでイツキさんが歩くと枯れちゃうんですか?」

イツキ「俺が死神だからじゃないか?」

ニッと笑いながら蒼を見つめた

蒼「それは違うと思いますよだって本当に噂通りの死神だったらザキさんと僕とっくにあの世に逝ってますからね~にしても柊さん目が開くようになって良かった。」

2本の爪痕は残ったものの視力には問題なさそうだ

蒼「枯れた彼岸花はそのまんまにしとくんです?」

イツキ「柊が枯れた場所を歩くとまた咲くんだ。何事も無かったかのように。」

蒼「わお彼岸花に愛された男ですね!」

蒼は尻尾をブンブンさせキラキラした目でイツキを見た

イツキ「ははは、そうかもしれない。あいつは色んなものに愛されるそれは素晴らしい事で…辛いものだ。」

どこか悲しげな表情でイツキは柊を眺めた

ザキさん「待って本当に昨日まで見えてなかった?ねぇ拳飛んでくるの早い、よ!」

柊の拳をヒラヒラとかわしながらザキさんカウンターを放つ

柊「早いとか言っててザキさん普通に、仕掛けてくるじゃないか!」

柊は楽しそうにザキさんへ蹴りを入れる

ザキさん「おかしいおかしい僕、柊みたいに筋肉ないし体力ないし全然楽しくないんだけども?!へぶっ!」

柊「あ。」

楽しすぎてついつい力を込めすぎたせいか

ザキさんへ右ストレートが綺麗にきまり身体は宙に浮いたやはり昼間だと駄目らしい

柊は落ちる前にザキさんを受けとめてお姫様抱っこの状態になった

ザキさん「…痛い、帰りたい。タバコ吸いたい…。」

柊「鼻に入れて火をつけてあげようか?」

ザキさん「うん、やめようね?そうゆうのなんて言うか知ってる?いじめって言うんだよ?」

柊「このまま手を離して地面に叩きつけるってのも出来るけどどうする?」

ザキさん「はい、ごめんなさいあの2人の所まで連れてってくださいお願いします。」


ザキさんは今日も変わりなく面白い

蒼とイツキが笑ってるのが見える

左眼の傷なんて忘れちゃう程の楽しい時間


このまま楽しい事が終わらずに

時間が止まってしまえばいいなんて思った


だってもう2度と同じ気持ちで

この時間は過ごせないから


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