そして貴方は僕になる。

ベルディア

枯れればまた咲く 壱


心地よい風がそよそよと吹く

小鳥の歌声、草が擦れて奏でる音

そして…獣が歩く足音


イツキ「…また日向ぼっこをしてるのか。」


仰向けになっている僕の顔を覗き込む

全体が白い毛並みに所々灰色混じっている

身体には赤い模様が付いている

2m以上の大狼が僕の顔をのぞきこんだ


柊「んーちょっとね、こんないい天気には日向ぼっこしないとさ気が済まないというか。」


イツキ「よく分からないがいつもと変わりないな。」

脚に付いた足輪がガチャリと音を立ててイツキがくるっと回り僕へ背中を向け歩き出した


柊「またそーやって僕を置いてくんだか…らっと!」すぐ身体を起こして僕はイツキを追いかける

この工場廃墟だけに沢山咲く彼岸花

その中を歩く二人

イツキが歩いた後は彼岸花が枯れていくそしてその枯れた彼岸花の上を僕が歩くと彼岸花はまた潤しく凛々しく咲き誇る


彼岸花はここにしか咲いていない

イツキも僕もこの現象はこの工場廃墟しか起こらない


でもこの場所は

僕達の住処であるとともに大事な場所


工場廃墟を1歩外へ出れば

そこは自然豊かな〝奇形の獣人〟達が集う街が広がっている


柊「じゃいってきます。」

僕は後ろを振り向き彼岸花にそう伝えイツキの背中へと乗り住処を後にした




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