第16話 トンネル

深夜。暇を持て余した女子大学生二人が、肝試しをすることになった。


「でー、どこ行くどこ行くー?」


「どこ行こっかなーどこ行こっかなー?」


 暇なので異様にテンションが高い。そしてウザい。


「あ~あのトンネルなんてど~お~?」


「あそこ行っちゃう? 行っちゃう~?」


 繰り返す。暇なので異様にテンションが高い。そしてウザい。


 ともかく、彼女たちは幽霊が出るというトンネルに行くことにした。




 一時間後。XXXトンネルに着いた。


「ふいんきある~!」


「も~、雰囲気だって~!」


 暇なのでイチャコラするバカップルのような芝居をしながら彼女らはトンネルの中へ入っていった。


 オレンジ色の光が付いては消えを繰り返す。風のうなりが通っていく。煤けた壁にちょっと触ってはキャッキャキャッキャと騒ぐ。彼女らは肝が太い。




 一時間後。何も起こらなかったことに不平を言いながら彼女らは帰宅しようとする。


「楽しかったねー」


「そうだねー」


「また行こうねー」


「また来てねー」


「えっ?」


 片方の言葉にもう一方の女子大生が怪訝な顔を見せた。


「あー、言うの忘れてた。私の家、このトンネルなの」


 もう一方の女子大学生は気絶した。

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