【エピソード4 最終回】

 ☆  ★


「る……く様! るう……様。流空様!! 目を覚ましてください! 流空様!!」


 体を乱暴に揺すられて、俺は目を覚ました。


「う、うぅ……」


「大丈夫ですか! 意識はありますか!? 流空様!!」


 目を開けると青い瞳が俺を覗き込んでいた。

 白い肌は煤け、銀色のポニーテールは所々ほつれているが、大きな怪我はない。フィリスだ。


「フィ、フィリス……?」


 名を呼ぶとその大きな瞳が潤んでいく。


「よかったー!! うわーん!! 死んじゃったかと思いましたよぉお!!」


 フィリスは俺に覆いかぶさっておいおいと泣き始めた。


「こ、ここは。俺は。……はっ! 魔神は!? ボウル・ネデルはどうなったんだ!?」


 フィリスを引き剥がして起き上がる。頭を鈍器で殴られたような痛みに思わず目がかすむ。


「倒したのよ。ダーリンが」


 声。クロコの声だ。


「よくやったな。さすが、勇者。だぜ」


 ヴォルグもいる。よかった。みんな無事だったんだ。


「崩れ落ちる神殿からお前を抱えて脱出するのは大変だったんだぜ」


 ヴォルグが指差す先を見ると、あのピラミッド状の巨大な遺跡は無残にも崩れ去っていた。


「ああ! ラーマ神殿が!」


「すごい魔力だったわぁ。ゾクゾクしちゃったぁん。古代遺跡が壊れちゃったのは残念だけど、ダーリンが生きててくれたから、全部オッケーよん」


「ご、ごめん。自分でも無我夢中で。力の制御なんてできなかったんだ……」


「いいのよ。どんな建物だっていつかは壊れる。その跡地には草が生え、新しい命が芽生えるのだもの。ご先祖様も許してくれるわ」


「ありがとうクロコ。それにしてもみんな無事でよかった。あの魔神の強さは半端なかったし、俺は魔王の提案に乗って一人で元の世界に帰ればよかったって本気で思ったよ」


 正直に白状する。


「ガハハ。相変わらずだな流空は」ヴォルグが大声で笑うから、みんなも自然に笑顔になる。


 その時だった。


「グオオオオンッ!!!」


 空気を震わす咆哮。


「な、なんだ!?」


 耳を竦ませてヴォルグが崩れた神殿の方を見た。振り返ると同時に、崩れた神殿の瓦礫が弾け飛んだ。


「グオォオオオン!!!」


 そして再び響き渡る雄叫び。何が起こっている!?


 あの瓦礫の下に『なにか』いるとでもいうのか!?


 突然のことになすすべもなく、皆が見つめていると瓦礫の山が揺れ始めた。


「なにか出てくるぞ!」


 凄まじい雄叫びと共に、瓦礫を押しのけ天に向かい二つの翼が現れた。黒く大きな翼だ。


「なんだ!?  なんだあれは!」


「ド、ドラゴンの翼!?」


 瓦礫を吹き飛ばしながら、折りたたまれていた翼が広げられていく。

 で、でかい。とんでもない大きさだ。咆哮は続く。空気が大地が震える。

 そして、両翼の真ん中から、長く太い首が瓦礫を突き破るようにして現れた。

 瓦礫の下から現れたのは黒い鱗を持った巨大な竜だった。


「まさか、ガルガ竜か!?」ヴォルグが叫ぶ。


 ずんぐりとした胴体に大きな翼。太く長い首の先の頭部にはギロリとした黄色い瞳。

 クロコの変身前の姿よりもさらに一回りもふた回りもでかい竜が瓦礫の下から現れたのだ。


「魔王が使っていた飛行竜だ! そういえば姿が見えないと思っていたが、こんなところでお出ましとはな!」


 竜の咆哮は衝撃波を伴う。吹き飛ばされそうになりながら必死で耐える。


「リザードラム。もういい」


 雄叫びの中に混じって聞き覚えのある声がした。


「そ、その声は!?」


 その竜の翼の下を見ると一人の男が立っていた。竜は男を守るように包んでいたのだ。

 男の指示を受け、竜は吠えるのをやめた。


「ボ、ボウル・ネデル!?」


「まさか……。生きていたなんて」


 そんなのありか!もう俺には光の剣を出す魔力は残ってないぞ!

 くそぉ。あの女神め、適当なことを言いやがって。話が違うじゃねえか!

 ちくしょう、こんな隠し球があるんなら、この世界に戻るんじゃなかった! 元の世界に帰っておけばよかった!


「おい、流空!よく見ろ、やつの体の印が消えているぞ」


 ヴォルグが指差す。確かに体に刻まれていた紋章のような印はすっかり消えている。あの印象的だった色違いの瞳も、今は両目とも同じ色になっていた。

 怯える俺たちの様子を見て、男は自嘲するように呟いた。


「心配するな。もう戦う力なんて、残っていないさ。お前らの勝ちだ。俺の体に封印していた魔神は死んだ。もう俺に残された魔力はない」


 言葉もどこか弱々しい。魔神が憑依していた時に比べて邪悪な雰囲気もない。ってことは本当か?


「嘘をついてるようには見えねぇけどよ……お嬢ちゃんどう思う?」


「確かに彼の体から魔力は感じられません。嘘ではなさそうです」


「……つまり、もう俺たちと戦う気はないってこと?」


 恐る恐る聴くと、魔王はあっさり頷いた。


「ああ。俺の方にはな。煮るなり焼くなり好きにしろ。どんな殺され方をしても文句はない」


 魔王の言葉に敗者の悲壮感はない。負けてなおその仕草は堂々としている。


「けっ。あっさり言いやがって。……ふん。だが負けを認めてるやつを殺すってのは狼男ウルフィアンの誇りに反する。俺は降りるぜ」


 いの一番にそう言ってヴォルグはそっぽを向いた。


「ま、まあ俺だって仲間を守る為に戦っただけだから、わざわざ瀕死の相手にとどめを刺すなんてしたくないけど……」


 ちらりと横目でフィリスの表情を伺う。彼女はどう思っているのだろうか。

 フィリスはアルトウィア連盟のより魔王討伐の命を受けている。みすみす見逃しては軍法会議とかにかけられたりしそうだけど、どうなんだろう。唇を噛んで葛藤しているフィリス。


「アバリールの王女はそもそも俺を殺すために旅をしてきたのだろう。俺を殺し、首を国に持ち帰ることを命じられているのではないか」


「私は……」


「ダメよ!フィリス!」


 クロコが叫び駆け出す。


「クロコ?」


「ダメよ。彼を殺すのはダメ……」


 クロコは魔王を庇うように立ちふさがり、かぶりを振った。


「クロコ。気持ちはわかるが、お嬢ちゃんの気持ちも考えてやれ。俺たちとは違うんだ」


 ヴォルグが言うと、クロコは「違うの!」と首を振った。


「あたし、気づいたの。彼の正体を……。彼は、彼は勇者よ! 」


「勇者……? 何をいっているのだクロコ。勇者は流空だろ」


「違うの! ……ダーリンも勇者だけど、この魔王も勇者なのよ!」


 興奮しているからなのか、クロコの言葉は要領を得ない。


「つまり、どういうことだ?」


「……それは余から説明しよう」


 クロコの後ろから岩を転がすような低い声。竜がしゃべったのだ。


「ガルガルシン様……っ!」


 ふりかえるクロコがその名を呼んだ。

 瓦礫から姿を現した黒竜が地鳴りを立てて向き直ったところだった。


「クロコ。あの竜のこと、知っているのか?」


「ええ。あの竜は……。いえ、あのお方は。かつて世界を救った勇者様にお供した、偉大なる古の竜種。ガルガルシン様よ……」


「ガルガルシン……。確か、十二年前に同盟軍が召喚した勇者タイガ様のお供をされた竜種。戦いでタイガ様が戦死した後はその姿を消したと聞いていますが……」


 フィリスが言うとガルガルシンはその黄色く大きな瞳をそちらに向けた。


「ほう。余のことを知っているものが他にもいたか。その通りだ。余はかつてガルガルシンと呼ばれていた。クロコディランと同じく異世界の勇者を守る盾であった」


「そのガルガルシンがなんで魔王と一緒にいるんだ。勇者が死んで魔王に鞍替えか?」


 首をひねるヴォルグ。


「ガルガルシンの名は捨てた。今の余はリザードラム。魔群四天王が一人。猛進のリザードラムだ」


 そう言うと天に向かいガルガルシンは咆哮した。

 すると巨体が光がつつまれ、身体がみるみるうちに縮んでいく。そうだ、クロコが変身したのと同じ光景だ。


「そして、これが今の姿だ」


 光が収まると、立っていたのは太い尾と筋肉質な腕を持った竜騎士だった。クロコの変身前の姿に近い。


「リザードラム……。そうか。お前が神殿の三階にいた奴か」


「それって下に降る階段と関係ない部屋にいたからスルーしたってやつ?」


「そのことは言うな。余の最大の汚点だ」


 見た目に反して、以外と抜けてるのかも。


「勇者に仕えていた竜……。もしや、魔王ゴトーの正体は、かつて世界を救った勇者タイガだというのですか!?」


 皆の視線が魔王へとそそがれる。言われてみれば、髪も黒いし目も黒い。掘りも深くないし、俺と同じような人種に見える。って、魔王ゴトーって『後藤』ってことか!苗字かよ!


「……その通りだ。俺はかつて勇者と呼ばれていた」


 後藤なんていうと急に親近感がわくな。『魔王後藤』ちょっとダサいぞ。……なんて思っている俺をよそに、話は進んでいる。


「そうだったのですね。公式な記録では勇者はメレルバの崖から転落して死亡したことになっていました。でもあの魔神ボウル・ネウルを倒した勇者が崖から落ちて死ぬなんて、考えてみればおかしい。そういうことだったんですね」


「かつての勇者が魔王になる……か。皮肉なもんだぜ」


「古い話さ。俺は同盟軍によって召喚され、同盟軍のために戦っていたが、俺を妬む勢力が同じ軍の中にあることに気づかなかった。謀略にはめられ仲間を失った時に、俺は全てを捨てた。勝手に召喚しておいて、都合が悪くなったら処分する。そんなこの世界のやり方に絶望したのさ。そのあとはお前たちの知る通りだ。再び勇者が召喚されたと聞いた時は、なんとしてでも元の世界に返してやりたいと思ったよ。でも、魔力を溜めるために体に宿した魔神を抑えきれなかった」

  

 元・勇者の独白はあまりに悲しかった。もしかしたら俺が彼のようになっていたかもしれない。魔王ゴトーは俺の未来の姿だったかもしれないのだ。


「フィリス……。どうするの? あなたがもし勇者タイガにとどめを刺すと言うのなら、あたしはあなたを……」


 クロコの言葉が震える。その先は聞きたくない。


「……クロコさん。私は魔王を倒すために旅をしてきました」


 フィリスが消えそうな声で呟く。


「ならば、あたしはあなたは……」そう言って、クロコが剣を抜く。


「やめろよ! せっかく魔神を倒して、ハッピーエンドだと思ったのに、なんで最後に仲間同士がいがみ合わなきゃいけないんだよ……」


「あたしだってこんなの嫌よ……。でも、彼を殺すのはおかしい!!」


 涙をためて、それでもクロコは剣を収めない。


「そうですよね……」


 フィリスがポツリと呟く。小さい、消え去りそうな声。


「でも、クロコさん。私も、ずっと迷っていたんです。異世界から勇者を召喚しては戦いに駆り出す。それがこの世界では常識ですけれど、それは本当に、正しいのかって。でも、私はアバリールの王女です。国のために魔王は倒さねばなりません。もし私がここで魔王を取り逃がしたとなれば、我が国の立場が弱くなる。アルトウィア連盟の中での発言権が弱くなれば、国有魔力の量の制限も受ける。それではアバリールは後進国になってしまう。だから、絶対に魔王は倒さねばならないのです……」


「フィリス……」


 彼女は俺たちとは立場が違う。まだ16歳という若さで、わがままなところも多いけど、彼女は国のことを考えているんだ。個人の意見と国の未来を天秤にはかけられないのだろう。


「でもね。聞いてください。魔王はね……。魔王はもう倒しました。うん、もう魔王はいません。そうですよ。目の前にいるのは勇者タイガ様です」


 フィリスが顔を上げる。決意に満ちた表情で言葉を続けた。


「そうです! 魔王の正体は復活した魔神ボウル・ネデルだったんです! 私たちは崖に落ちて死んだと思われていたかつての勇者タイガ様と力を合わせ魔神ボウル・ネデルを倒したんです! そうですよね! ヴォルグさん!? 流空様!? だから、もういいんです!!」


荒唐無稽な話だ。だけど、フィリスはそれで押し通すつもりなのだろう。表情でわかる。


「……ふっ。そうだな。お嬢ちゃんの言う通りだぜ。魔王はボウル・ネデルだった。そうだ。俺が証言してやる」


 ヴォルグが微笑む。


「ね? そうですよね。流空様!?」


「ちょっと、強引な気はするけど……まあいいんじゃない?」


 苦笑いで答える。


「フィリス~!!」歓喜の声をあげてクロコが剣を投げ出した。


「ありがとう! そうよ! 魔王はもう倒したのよ! ありがとう! ありがとう!」


 その巨乳でフィリスを押しつぶすほど抱きしめてクロコが叫ぶ。


「ちょ、ちょっと、クロコさん! 息ができませんよぉ」


 なにはともあれ、これで解決……なのかな? 

 ほっとしている俺にヴォルグが声をかける。


「そうでも、ないみたいだぜ」


「なんだよ、ヴォルグ。水を差すようなことを言うなよ」


「まあ、俺だって言いたかないが、周りを見てみろよ」


 周り……?


 ぐるりと見渡してみる。


 目の前には瓦礫になった神殿があり、俺たちはその前の広場にいる。そして、遠巻きに黒い集団がこちらを伺っていた。……魔群合衆だ!


「げ、忘れてた! めちゃくちゃいるじゃん!」


 神殿が破壊され、俺たちだけが出てきたことで、及び腰になっていた魔群合衆の連中だが、今の会話を聞いていたようだ。

 そこかしこからヒソヒソ声が聞こえる。


「魔神が倒された……」「魔王もあいつらも魔力を使い果たしているって言ってるぞ……」「今ならあいつらを倒すこともできるんじゃねえか」「魔王と勇者を同時に倒したら、金も名誉も思うままだ」「俺がやる、てめえらは黙って見てろ」「抜け駆けはさせねえぞ」


 なんて連中だ。四天王の連中が入っていたように、本心では魔王に忠誠を誓っちゃいなかったんだ。


「……クズどもが」ヴォルグが舌打ちをして言う。

「魔力がなくたって、あんな連中に負けるわけねえじゃねえか。なあクロコ」


「せっかく感動ムードだったのにぃ。もう、最悪。あたし、暴れたくなっちゃったぁ」


 クロコが眉間に皺を寄せて、一度は放り出した剣を再び拾う。


「……ふん。タイガよ。烏合の衆と放っておいたのが仇になったな」


 リザードラムが唇の端を歪ませて傍の勇者に言うと、勇者は面倒臭そうに笑った。


「ようやくお前の出番が来たってことさ」


「ふはは。そうだな。勇者たちとも手合わせしたかったが、まずは共闘といこうか」


 楽しそうに言って歩み出る。


「おい、お前らもいるんだろう。隠れていないで出てこい」

 

 そして瓦礫の陰に声を放った。


「……か、隠れてたわけじゃないわよ」

「そうよ、様子を伺ってただけよ」


 瓦礫をおしのけて、バツの悪そうな表情で双子が顔を出す。


「ふぉふぉふぉ。瓦礫に足を挟まれて出てこれなかったとは言えぬものな」


「ちょ、ガルシア! 余計なこと言わないで」

「あなただって腰が痛いとか言ってへばってたじゃない!」


「みなさん! 無事だったんですね!」


 フィリスが嬉しそうに叫ぶ。


「当たり前!  神殿が崩れるくらいでやられるルリ☆ルナじゃないわ!」


「ふぉふぉふぉ。さて、おしゃべりはそれくらいにして、ゴミ掃除といくかのぉ」


「そうね。元から大嫌いな連中だったし」

「そーね! 暴れ足りない気分だし」


 ダンっと大地を踏みしめて戦闘体制に入る双子。


 よーし、と胸を反ってフィリスが叫んだ。


「新旧勇者連合、結成ですね! 流空様! タイガ様! 一緒に戦いましょう!! 聞きなさい! 魔群合衆の小悪党たち!! あなたたちの悪行も今日までよ! まとめて相手になってあげるから、かかってきなさい!!」


 その声を受け、魔群合衆の軍団が雄叫びをあげて突撃してくる。

 みんな魔力は切れていても、格闘の心得があった体術を極めていたりするから、この程度の魔物など相手ではないのだろう。

 それぞれが戦闘態勢に入るのを見ていて、俺はふと思った。


(あっ。俺、魔力が切れてて、もう光の剣、出せねえんだった)


 そう思った時にはすでに魔物たちが俺をめがけて駆けてきていた。


「死ね!勇者!」「勇者を仕留めるのは俺だ!」「勇者を殺せ!!」


「待て待て待てって!! うおおお!! こんなところで死にたくねえ!!」


 叫んで逃げ出す。血走った目で追いかけてくる魔物たち。怖すぎ!

 大乱戦の中、俺は無我夢中で逃げ回った。クロコがその大剣で敵をまとめて薙ぎはらう横を、必死で逃げる。ヴォルグがその鋭い爪で敵をバッサバッサ倒すその後ろを涙目で賭ける。フィリスが格闘術を駆使して応戦している周りを必死になって走る。


 結局、俺はこの世界に来てから最初から最後まで逃げてばかりだよ! もう嫌だ! こいつらをどうにかしたら、すぐに帰るからな!

 もうこんな世界はこりごりだ!!


「フィリスぅ! こいつらを片したらすぐに俺を元の世界に帰してくれよぉ!!」


 半泣きで逃げながら叫ぶ。

 フィリスが肘打ちで獣人の顎を砕きながら返事をよこす。


「何を言ってるんですかっ! ラーマ神殿は崩れちゃったので、もうここでは流空様を元の世界に送還することはできませんよ!」


 ……は? なんですと?


「えい! そりゃ! もうこの大陸に古代遺跡はありません! よいしょ! たあ! 海を越えてガリアまで行かないと、帰れませんから! そりゃあ!」


 戦いながら言葉を返すフィリス。


「な、な、なんだってぇえ!!!」


 思わず立ち止まってしまい、魔物に掴まれそうになった。


「あぶね! 来んなボケ!」 


 とっさに魔物の頭をぶん殴って再び駆ける。


 まじか! 俺はまだこの世界にいなきゃいけねえのかよ!!


 くそ。なんでこんな目にあわなきゃいけねえんだ。

 視界が滲む。帰りてえよお!!


 俺は号泣しながら逃げ回ったのだった。


 俺の異世界生活はまだまだ続くってのかよ!!


「帰らせろ!! 俺は彼女とエッチなことがしてえんだって!!」


 叫び声は大乱戦の空に虚しく消えていった。 





 ブルースカイル英雄譚 エピソード4 ルークズアドベンチャー 完。









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