第31話 佐伯めぐみのやる気① 大人の誘い方?

 ファミレスガトレス。佐伯めぐみはここで働いている。週

五日入っており、店長からも社員にならないかという

推薦もある程の仕事ができる。

 今までは働く事でいっぱいだったのであまり遊んだり

何かに夢中になる事はあまりなかった。

 でも、最近は柊介の事が気になり始めた。最初の頃は

普通に店員と客だったが、柊介がここに入ってからだいぶ

印象も変わり、めぐみはその柊介を意識するようになった。


 けど、柊介の周りにはたくさんの女の子がいた。この

店にもたまに連れてくる。

 それでゆい達は皆柊介に気があるとわかり、少し

嫉妬する感じを覚えた。


 仕事が終わり、家に戻る。めぐみは一人暮らしで

マンションに住んでいる。大人の女性と言う感じの

部屋で、落ち着いている。

 先に食事を済ませてからお風呂に入る。めぐみは

スタイルが良い。今までは気にしなかったが

初めて異性に興味を持って、少し自分の体を

気にし始めた。


「やっぱり他の子よりは悪いかな。皆十代の学生

だし。あ、黒川さんは大人か。でも、私の方が

上だからな。浅倉くんとは十以上も違うし」


 ちなみにめぐみの歳は三十だ。でも、美人なので

若くは見えるが、本人はやはり気にしている。

 風呂から上がり、部屋に戻る。特に何か

やりたい事はないので、本を読んだりテレビを

見てから就寝する。

 これが今のめぐみの日常だ。


 朝になり、仕事に行く準備をしてから少し

ゆっくりする。仕事は十時からなので

一時間前に家を出る。

 店に着いて制服に着替え、皆のミーティングを

始める。

 時間になりホールに出る。昼過ぎ、落ち着いて

来てから休憩を取る。休憩室に張ってある

シフト表を見るめぐみ。


「浅倉くんは今日入ってる。あと二時間ぐらいで」


 と、そこに店長がやってきた。


「どうしたシフト表を見て」

「あ、いえ、なんでもないです」

「そうか。えっと今日は浅倉は来るな。夕方は

一人でも多く来てもらわんとな」

「そ、そうですね。でも、最近浅倉くん

忙しいみたいですけど」

「そうだな。あいつもだいぶ変わって来たしな!

ま、それでも仕事はしてもらわんとな」


 そんな話をして仕事に戻るめぐみ。夕方に

なり柊介が出勤してきた。


「お疲れ様です佐伯さん」

「あ、お疲れ浅倉くん。どう、もうここは慣れた?」

「そうですね。まだ皆よりは仕事は遅いですけど

なんとかできるかなって感じです」

「そうだね。だからわからないことはわ、私に

聞いてね。ちゃんと教えてあげるから」

「はい。ありがとうございます」


 柊介は笑いながら返事をした。最初は笑う事も

なかったので、今はその笑顔を見るとめぐみも

うれしくなる。

 時間になり仕事が終わる。着替え終わり、めぐみは

浅倉に声をかける。


「浅倉くん。少しどこかよってかない?あまり

時間はないけど」

「いいですよ。今日はゆっくりするつもり

でしたから」

「じゃぁ行こう」


 二人は駅前の商店街を歩いて、それから近くの

公園に向かった。

 ベンチに座る。二人きりな事を意識するめぐみ。

 これも初めての感じで胸がドキドキしていた。

 すると柊介の方から話かけて来た。


「あの、前も話しましたけど、今度ライブを

やる事になったんです」

「そ、そうだったね。確か黒川さんの」

「はい。だからよかったら見に来てもらえませんか?」

「いいの?」

「はい。チケットは用意できますので、時間が

あれば来てほしいです」

「うん。じゃぁ店長に相談して開けてもらうね」

「ありがとうございます」

「それにしても浅倉くんもだいぶ変わったね!

最初の頃はすごい暗い感じだったけど」

「そ、そうですね。まぁ今も自分ではあまり

変わってない気がしますけど。でも、皆と会って

から楽しい事が増えたからよかったです」

「そうなんだ。その、楽しい事ってやっぱり

女の子と一緒だからかな?」

「あ、えっと、そ、それもありますけど、その」

「ごめんね、変な聞き方だったね。でも、その

楽しい事に、わ、私も入ってるかな?」

「は、はい。もちろんです。佐伯さんみたいな

美人で大人の女性とい、一緒に入れるんですから」

「あ、ありがとう」


 二人共恥ずかしがりながら話し合う。顔も赤く

なって、少し沈黙した。

 すると、めぐみが柊介の手を握り、見つめ合った。


「さ、佐伯さん」

「浅倉くん。もしかしてもうキスとかしてる?」

「え、えっと、く、口ではまだですけどその

それ以外では」

「そうなんだ」

「!?佐伯さん!!」

 

 めぐみは思い切って頬にキスをした。


「浅倉くん。私、あなたを好意に思ってるわ!

正直に言うと、今までその、誰かを好きに

なった事がなかったからまだわからないけど

でも、あなたが気になる事は確かよ」

「本当ですか」

「ええ。だから、そのデートしてくるかな?」

「デート。う、うれしいですけど実は」


 柊介はこれまでの事をめぐみに話した。


「そうなんだ。でも、まだ決めてないんだよね!

だったら私もあなたのデート候補になるわ!

だから、私の事も考えてほしい。あ、浅倉くんが

年上でもいいなら、その、見せてあげてもいいよ」


 めぐみは少し胸元を開けた。柊介は今までも

香澄や洋子達のを少し見ているが、やはり大人の

めぐみの胸は違って見えた。

 少し見ていた柊介だが、平常心に戻る。


「えっと、わかりました。佐伯さんの事も

考えます。だから今はまだその胸も」

「ご、ごめんなさい。いやらしい女って

思っちゃたかな?」

「そ、そんな事はないです。佐伯さんが

真面目なのはわかってますから」

「ありがとう。ごめんね、いきなりこんな事

しちゃって。もう帰りましょうか」

「はい」


 二人は駅に向かい、それぞれの方に帰った。


 めぐみは部屋に戻ってからも恥ずかしさが

消えず、それでも初めて異性に好意を持って

それを伝えた事にめぐみは興奮した。


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