第20話 僕の事情!変化と行動?

 明日から新学期が始まる。その前夜、柊介はまだ

考えていた。

 それは、ファミレスの店長にバイトをしないかと

いう事だ。でも、それ以外でも柊介は迷っていた。

 まずはゆいのやりたいこと、ゲーム会社を

作るという事だ。柊介もゲームが好きでそのゲーム

作りには関わりたいと思っている。それから、香澄の

吹奏楽と同じで。咲夜もプロでやっている音楽だ。

 柊介はどちらもプレイヤーとしてもやってみたいことも

あり、迷っている。

 そこにファミレスでのバイト。今までこんなに

頼られた事はなかったので、どれを優先したらいいのか

迷っていた。


「っていう事なんだけど」


 柊介は姉の泉に相談していた。泉の部屋で

話をする。


「へぇあんたがバイトね。本当に最近は動く

ようになったじゃないか。まぁこっちからしたら

それが普通なんだけどね」

「確かにそれが普通だけど、僕にとっては」

「わかってる。お前の好きなようにやんな!

まだ一年だ。バイトもできるし、卒業後の事なんか

いくらでも考えれる。何も考えないよりは全然

ましだ」

「うん。そうだね。あとで母さんにも言っておくよ」

「そうだな。まぁ頑張りな」


 柊介は部屋に戻り、明日の準備をした。それから

親に話して、翌日学校へと登校した。

 始業式が終わり、教室に戻る。この日は始業式

だけなのですぐの下校するが、柊介はその前に

職員室に向かった。


「まさか、お前からこんな志願が来るとはな」

「ええ。僕も正直まだどうなるかわかりません!

でも、やってみたいっていう思いはあります」

「そうか、ならよしとするか。うちは禁止では

ないからな。特にお前の様な生徒が積極的に

なてくれるのは担任としてもうれいしいからな」

「はい。ありがとうございます」

「だが、勉強の方も怠るなよ。よくそっちが

優先で勉強がダメになるパターンが多いからな」

「わかってます。そっちも頑張ります」

「そうか。なら頑張れよ」


 柊介はバイトの許可をもらっていた。そう

ファミレス、ガトレスでバイトする為だ。

 まだお昼前なので柊介はそのガトレスに

向かった。


「いらっしゃいませ!あ、浅倉くん」


 そこにいたのは佐伯めぐみだった。


「あ、佐伯さん。あの店長いますか?」

「店長?いるけど」

「じゃぁ呼んできてもらっていいですか?」

「わかったわ。待っててね」


 少しすると奥から店長がやってきた。


「お、来たか。でも、こんな時間にどうした?」

「えっと、今日は始業式だけなので」

「ああなるほどな。それで決めたのか?」

「ハイ。あのお願いしてもいいですか?」

「いいだろう。じゃぁ奥に来な」

「店長、これって」

「ああ、こいつにバイトに入ってもらおうと

思ってな。人も少ないし」

「それはそうですけど、浅倉くん大丈夫なの?」

「う、うん。たぶんだけど。でも、せっかく今

外に出れる様になったから、少しでも動こう

かなって。もちろん続けれるかはわからないけど」

「そっか。じゃぁ同じ従業員だねよろしく」

「は、はいよろしくお願いします」

「こらっ!さっさとこい!始めるぞ」

「は、はい」


 奥へと連れていかれる柊介。普通は面接から

始めるのだが、今回は店長が誘ったので

簡単な書類を書いた。

 それから着替え室に案内し、色々説明する。さすがに

今日からは働かせれないので、今は案内だけだ。

 厨房にも行き、一人ずつ紹介していく。フロアにも

同じようにあいさつをし、また事務所に戻る。


「とりあえずこんな所だな。あとはお前がやれるか

どうかだ。まぁ人がいないからな、やれるとこまでは

やってもらうぞ」

「はい。お願いします」

「よし、じゃぁ次はその髪をどうにかしな」

「髪?ですか」

「ああ。お前、身だしなみとかも全然気にしない

だろ?厨房もだが接客は見た目も大事だ。しっかり

髪も整えていれば清潔にも見える。今のお前の

髪はぼさぼさだ」

「そ、そうですね。今まで全然気にしてませんでした」

「だろうな。まぁそういう事も含めて学生の

バイトは貴重な経験だ。しっかりしろよ」

「はい」


 そうして店長の北出志保(きたでしほ)に色々

教わり、そこで昼食も食べ、それから言われた

通り髪を整えに行った。

 買い物をしてから帰ったのはもう夕方だった。

 家には泉が帰ってきており、柊介は一度

部屋に戻って着替えてからリビングに向かう。


「あ、柊介、そこにある・・・お前、柊介か?」

「そ、そうだけど。やっぱり変?」

「ははっ!なんだその髪、めっちゃまともじゃないか」

「だったら笑わないでよ。これから真面目に

働くのに」

「ああそうか、それで切って来たのか。にしても

意外といいじゃないか。まぁただ良くなった

だけで、プラスまではいかないけどな」

「ほっといてよ。部屋に戻る」

「もうすぐでごはんできるから、あとで下りといでよ」

「わかったよ」


 それから食事の時も泉は茶化して来た。それは

学校でも同じで、柊介のクラスが朝からざわついてた。


「あ、浅倉くんどうしたのその髪?」

「楠さん!その変かな?」

「ううん。変じゃないよ。全然いいよ」

「あ、ありがとう」

「でもどうして急に?」

「えっとね」


 柊介は昼休み、香澄達と一緒に食事をとりながら

説明した。


「浅倉くんがバイト?」

「本当か?」

「うん。やっぱり、今までみたいに引きこもってても

ダメだと思ってさ。それにこの夏はすごいたくさん

動いたからさ。今の僕ならできるかなって」

「それはいい考えだ。浅倉くんはまだ一年だからな!

卒業までに色々経験するといい」

「そういえば来年で奥井先輩は卒業ですよね」

「ああ。私は大学に行くつもりだがな」

「それって音楽に関係あるんですか?」

「まぁな。音大だ。まぁ受かるかはわからんが」

「奥井先輩なら受かりますよ」

「ありがとう。まぁそれにしてもキミがここまで

変わるとはね」

「確かに、前も前であれだったけど、これはけっこう

いいのでは?」

「うん。可愛さがました」

「可愛さって、僕男ですよ?」

「そういうタイプもいるという事だ」

「そうだね。それで今日からバイトするの?」

「はい。放課後に十六時から入ります。今日は

短いですけど」

「そっか、じゃぁ落ち着いたら行ってもいい?」

「はい。来てください」

「ならそうしよう」

「ええ。浅倉くんの働くとこみてみたい」

「が、頑張ります」

 

 それから放課後になり、柊介は初めての

バイトに向かった。

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