第18話 僕の夏休み⑤ 好きなゲームの制作者の人と出会う
コミカルフェス。ここに一日で何万という人が
訪れる。その中で初参加の人がスムーズに買い物
したり、行きたい場所に行こうとするのは至難で
柊介達も同じだった。
人込みが苦手な柊介にはきつすぎる環境だが
それ以上に好きなイベントだからと思い積極的に
前に出ようとしていた。
でも、やはり皆とはぐれてしまった。
「わかった。あとで入口の所に集合だな」
「すいません。それじゃ」
香澄に連絡をして、柊介は一人会場内を見て
回る事にした。
一人になったとたん不安になってきて、あまり
同人誌を見れていなかった。
柊介は上に上がり、企業が出しているブースに
来ていた。
そこに柊介が好きなゲームの会社があった。
そのブースに止まり、柊介は品定めをする。すると
店員?っぽい人に声をかけられた。
「キミ、そのゲーム好きなの?」
「え、ハイ。好きです」
「そうか!よかった。一人でもそういう人がいて」
「一人でもって、これ人気じゃないですか」
「まぁうちとしてはね。でも、やっぱ他の大手と
くらべたらまだまだだからね」
柊介が好きなこのゲーム会社は最近作られた
会社で、このゲームがヒットしてようやく
少し名が売れてきたばかりの会社だ。
柊介もこのゲームをやっており、好きな方の
ゲームでもあった。
「あの、これとこれください」
「ありがとう。ところで、キミは一人できたの?」
「いえ、その本当は友達と来たんですけど
はぐれてしまって、あとで合流する事にしたんです」
「なるほど、初めてさんだね。ならしかたないか!」
「はい。本当にすごいですよね。世間はまだ
アニメやゲームをダメなモノって言われてるけど
これだけ多くの人が好きなんですからね。本当は」
「そうだね。私もそうだし、他の会社の人だって
それが好きでやってるからね。まぁ世間を気にしないで
好きに作る事も大事だよ。それを求めてくれる人が
いるならね。キミみたいに」
「はい。そうですね」
「あ、そうだ、キミ明日も来る?」
「はい、そのつもりですけど」
「それならまた来なよ。明日はこの奥にあるイベント
ステージでうちのゲームの催し物をするからさ」
「本当ですか?でも、そういうのはチケットとか
いるんじゃ」
「ハイこれが整理券。まぁうちもまだまだだから
券もあまってるからね。ゲーム買ってくれたから
サービス」
「ありがとうございます。絶対来ますね」
「うん。一人でも多く来てくれると助かるよ!
もし場所がわからなかったら、またここに来てね
私、この会社のゲームデザイナーをしている
成宮さやかよ。よろしくね」
「あ、はい。えっと、浅倉柊介です。高一です」
「おお高一か。若いね。それじゃ明日よろしくね」
「はい。ありがとうございました」
さっきまで落ちていた気持ちが好きなゲームの
関係者と関われて気持ちが楽しくなった柊介。
それからお昼になり、ゆい達となんとか合流
する事ができた。
「ごめん。またせて」
「本当だな。でも、何かいいことあったか?
さっきよりはいい顔しているぞ」
「あ、はい。好きなゲームのブースがあって
ほしいのが買えたので」
「そうか。ならよかったな。さて、どこかで
食事をしたいが、このあたりじゃ空いてそうな
所はないかもな」
「そうですね。コンビニもたぶんいっぱいだし
少し離れないと食べれないかも」
「それならお昼はなしにして終わって帰ってから
食べるのもありですよ。お昼の間なら会場内も
少しすいてると思うし」
「そうだね。そうしようか」
昼食はとらずに買い物を優先する事になった。ゆいや
洋子は色々買っていくが、香澄はまだわからないので
今回は付き添う感じできていた。
咲夜はさすがにこれなかったので、今回は四人で
来ている。
それから夕方まで周り、柊介も良い買い物が
できたみたいだ。
「浅倉くん、そっちのってもしかしてエッチな方?」
「え、えっとそれは」
「そういうのは学生じゃ買えないんじゃないのか?」
「ああ、確かにそうなんですけど、その、ギリギリの
とかなら指定も低いので買えます」
「なるほどギリギリか」
「浅倉くんどういうのが好きなの?」
「えっと、それは」
「まぁそのぐらいにしときな。いずれギリギリじゃ
ないくらいの事も見れるだろうしな」
「?」
香澄は少し顔を赤くしながら言ったが、本人は
まだ気づいていない状態だ。
それから解散し、皆それぞれ家に戻った。柊介は
買った物を読んだり、今日あったさやかの
事も思い出していた。
翌日、再び早朝から集まり、会場に向かった
柊介達。この日は最初からそれぞれ見たいところに
行く事にしていた。
柊介は当然、さやかのいるブースに向かった。
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