魔女の苦悩

しろだん

第1話 告白

「好きです」


胸の前で震えながら結ばれた その小さな手

赤く染まるほほ 可愛いつぼみの唇

精一杯の微笑み


ふわり舞う桜の花びらが

色あせた空と大地を染めるように

乖離(かいり)した私の心が私へと戻るように

それは その人の言の葉は

暗闇のひとすじの光


それは 甘美で無意味

それは 幻想で有意義


「私は、魔女なんだけれども…」

「そんなの関係ありません」

言葉を遮られた。

魔女が世界でどのような立場にあるのか説明しようとする前に。遮られた。震えていた女の子に。


「……。

もう一回言うからちゃんと聞いて下さいね」

「私は魔女であり女で、あなたたちの言うところの世のうとわれたもので…」

「うーんとあと…何だったかな」

『この世界は

欲望と貨幣経済に縛られて身動きがとれないつまらない人間種と

空と海、見えるものと隠れたもの全てを統べるマジョラムに分けられている』

と教えられた。

「自分達の優位性を意識するように」とよく使われる。

「そんなつまらない答えを聞いているんじゃありません。私を、私をどう思うか聞きたいです」

真っ直ぐに見つめてくる瞳

胸の前で固く結ばれた手で彼女の意思がわかった

「君は可愛いし素直で率直です。告白がどれだけの勇気を必要としたかも分かります。『好き』と言ってもらえてとても感謝しています。

しかし私は魔女であなたは人。交わることが出来ない。

この事は不変で普遍です。ですのであなたの期待には、…」

「勝負しましょう!」

「えっ⁇」

「ふへんふへんって何を言ってるのか分かりません。」

「あっ、ですから…」

「私が勝ったらお友達からお願いします」

彼女は実に素直で率直それに愚直だ


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