第6話 ピンチ! セクシーなお姉さんが現れた!
「ふふ。オニーサン。おヒマかしら? わたしとイイコトして遊んでいかない?」
「……ファッ?」
セクシーなお姉さんが現れた!
僕は激しく動揺した!
なぜならそのお姉さん、抜群のプロポーションで、まるでセクシーが服を着て歩いているかのような妖艶さを漂わせていたからだ。
いや、服というには布地が少なすぎるでしょ。
「ふふふ。オニーサン。ちょっとちょっと」
お姉さんはそう言って手招きすると、唖然としている僕を路地裏に引っ張っていく。
「な、何か御用ですか? ぼ、僕今、友達の戦いを見てる途中で……」
「え〜? ウソウソ。オニーサンが今見てるのはわたしの胸でしょ。そんなにガン見されると照れちゃう」
ギャフン!
コラッ!
僕の目!
正直すぎるぞ!
僕が反論できずにアワアワしていると、お姉さんは少し強引に僕を狭い建物の間に引っ張り込んだ。
ま、まさかこの奥に怖いオジサンがいて「おいニイチャン、なにウチの店の女にちょっかい出してんだ慰謝料払いな」とか言われて殴られるのでは。
僕は
「あああ、あのお姉さん。僕お金なんて全然持ってませんし、つまらない男ですから遊んでもらってもお姉さんの得になることは何ひとつ……」
「いいから見て」
お姉さんはそう言って自分のたわわな胸元を指差し、僕の耳にフッと吐息を吹きかけた。
「はひゃあ! み、見てと言われましても僕にはとても……んっ?」
お姉さんの弾力がありそうな胸には何やら文字が書いてある。
それは【
「お姉さん。もしかして……」
僕がそう言うと、エマというお姉さんは艶やかな笑みを浮かべたまま
そうか。
ジェネットが言っていたけど、このジェルスレイムにはすでに
エマさんはその一人なんだろう。
僕が理解したのを見て取ったエマさんはいきなり僕に体を押し付けて密着してきた。
「ひえっ ! な、何を……」
「通りは全て双子の監視の目があるから、そのまま聞いて。大丈夫よ。とって食べたりしないから。かわいいオニーサン」
エマさんはそっと僕にそう耳打ちした。
イチイチ仕草や口ぶりが色っぽいんだよコンチクショウめ!
「は、話は聞きますから、別にこんなことしなくても……」
「うふふ。ダメよ。路地裏でコソコソ立ち話してたらあやしまれるでしょ。わたし達はあくまでも客引きのお姉さんとお客なんだから」
ん?
エマさんは何者なんですか?
見たところそういう本職の方に見えるんですが。
そう
なぜならエマさんが次にそのなまめかしい
途端にエマさんの手から光が発せられる。
そしてエマさんは光り輝く手で僕の体のあちこちをまさぐり始めた。
「ひゃあっ! な、何するんですか」
「動かないの。体、辛いんでしょ」
そう言うエマさんの手から伝わってくる温かな波長が僕の体に浸透していくと、体のあちこちに残っていた熱っぽい痛みや
「こ、これって……」
「解毒の神聖魔法よ。わたし、こう見えてもジェネットと同じシスターだから」
えええええっ?
エマさんがシスター?
あのジェネットと同じ?
「あれ? 疑ってる?」
「い、いえ。神聖魔法を使えるってことはシスターですよね」
「ウソウソ。絶対疑ってるでしょ。こんなエロい
「うっ……」
図星です。
いや、だってシスターってのはもっとこう
そういえばジェネットも以前に全裸になってカバディカバディ言ってたことがあったな。
そもそも神に仕える清らかな
「はい。あれこれ考えるのはオシマイ。オニーサン」
そう言うとエマさんはあろうことか自分の胸の谷間から一枚のSDカードを取り出した。
な、なぜそんなところから。
不○子ちゃんですかアナタは。
唖然とする僕にそのSDカードを手渡しながらエマさんは言う。
「ジェネットと連絡が取れなくなってるでしょ。でも心配しないで。彼女、無事だから」
「本当ですか? よかった」
ジェネットのことだから心配ないって思っていても、やっぱり音信不通なのは不安だから。
「一体ジェネットに何があったんですか?」
「それは後でそのカードに記録された映像を見るといいわ。あ、でも見るのは指定の場所に行ってからにしてくれる?」
「指定の場所?」
僕が首を傾げると、エマさんはこの街の中にある一軒のお店の場所を教えてくれた。
そして用件は終わったとばかりに僕からスッと身を離したんだ。
ふぅ。
よ、ようやく解放された。
ホッとしたような残念なような。
コ、コホン。
とにかく彼女に密着されて緊張と動揺で心臓が破裂しかけていた僕は、深呼吸を繰り返して自らを必死に落ち着かせた。
エマさんはそんな僕を見て笑いながら路地の出口まで歩いていき、そこで振り返って愛想よく手を振ってくれる。
「じゃあね。オニーサン毎度あり」
そう言ってエマさんは路地裏から出て通りへと去っていった。
い、いや、毎度ありって。
それだと僕が何かムフフなサービスを受けていたように聞こえますよ。
誤解されるから!
そう思いながら路地裏から通りに出ると、そこを歩く人々や出店で商売をしている人たちから注目を一身に浴びた。
う~む。
道を歩く女子たちは冷たい眼差しを僕に向け、出店のオジサンたちはニヤニヤしながら「よう! ニイチャン昼間からお盛んだな!」と冷やかしの声をかけてくる。
べ、別に変なサービスは受けてませんから!
思わずその場から逃げ出そうとする僕を小さな男の子が見上げていた。
その隣には
「ママー。あの男の人、路地裏で女の人と何してたの?」
「シッ! 見ちゃいけません!」
母と子は僕と目を合わせないようにして足早に立ち去っていった。
な、泣けてくる。
さっさと立ち去ろう。
そう思ったその時、僕はふと視線を感じた。
いや、たくさんの人に見られてるから当たり前なんだけど、異質な視線というか……。
僕を見る人たちは冷やかし、からかい、同情、軽蔑など様々な感情をその顔に浮かべていたんだけど、人ごみの中の数人から、何の感情も感じられない無機質な視線を向けられていた。
だけど雑踏の中、彼らの姿を確認することは出来なかった。
僕もジロジロと人ごみの中を探すようなことはせず、逃げるようにその場から立ち去った。
もしかしてエマさんが言っていた監視というのは、このことだろうか。
こうして意識していると、どこかから見られているような気がする。
といっても僕に気配を察する力なんてないから、ただ神経過敏になってるだけかもしれないけれど、エマさんの言っていた監視の目というのは事実だろう。
双子は僕が妙な動きをしないか見張っているってことか。
とにかくあくまでも自然を装って目的のお店まで行かないと。
そう思うほどにギクシャクする手足を動かして僕は裏通りを進んでいった。
それにしてもついさっきまで裏通りは比較的すいていたのに、急に人が増えてきた気がするぞ。
まだ昼時には時間があるし、混雑する時間でもない気がするけど。僕がそんなことを思っていると、やがて目的の店が見えてきた。
それは古びた喫茶店だった。
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