第4話 新たなる力
双子の妹・暗黒
僕は呪いの蛇剣タリオを振り上げてそれを受け止めた。
ガキンという硬質な音をたてて剣と杖がぶつかり合う。
アディソンの力は強かったけど、強弱逆転でステータス・アップしている僕はこれをしっかりと受け止めることが出来た。
だけどアディソンの杖の先端にあしらわれたドクロが突然、ポロッと杖の先から離れると僕の肩の上に落っこちてきたんだ。
そのドクロは大きく口を開けると、鋭い牙で僕の首すじに噛みついた。
うぐっ!
途端に刺すような強い痛みが襲ってきた。
「い、イタタタタタッ!」
僕は必死にドクロを振りほどこうとしたけど、ドクロの
「無駄ですよ。
アディソンがそう言った途端、ドクロは僕の体からライフを吸い始めた。
途端に全身に刺すような痛みが
「うああああっ!」
くっ。
僕のライフゲージが減少し始めた。
僕の首すじからライフが吸われているんだ。
だけど僕は必死に痛みを
タリオは復讐の剣だ。
目には目を。
歯には歯を。
その原則に従って与えられたダメージを相手に返す。
それがタリオを装備した僕の能力だった。
だから僕のライフが減るのと同様に、アディソンのライフも減るはず。
……だけど状況は僕の予想を
「フン。呪いの蛇剣タリオを装備した時のあなたの特性も当然調査済みです」
アディソンの言葉の通り、タリオの特性を考えれば僕の体から吸われた分のライフが同じように彼女のライフゲージから削り取られるはずだった。
だけとアディソンのライフは一向に減少する様子が見られない。
減っていくのは僕のライフばかりだ。
「な、何で?」
「この
そ、そういうことか。
アディソンのライフゲージが減らないのは吸収して充当した分とダメージが同じ量だからだ。
くっ。
このままじゃマズイぞ。
一方的に僕のライフだけが減っていく。
「さぁ。もうあきらめて早々に死になさい。アリアナは私たちがうんと大事にしてあげますから。ククク……」
アディソンは嘲るように喉を鳴らして笑った。
……まだだ。
このタリオにはまだ別の攻撃手段がある。
僕が念じるとさっそくタリオが反応を見せた。
アディソンの
「ムダです! その
そう言うとアディソンは口から緑色の霧・
ああっ!
ヤバイヤバイヤバイッ!
だけど、そこでタリオの
白と黒の
アディソンの吐き出した緑の霧は
「な、何ですかっ?」
アディソンが動揺の声を上げた。
彼女にとっても予想外の出来事だったんだろう。
タリオが以前とは違う動きを見せた。
こんなことは初めてだった。
「な、何をっ? 離れなさい! 下賎のケダモノがこのワタクシに触れるなど……」
嫌悪感をむき出しにして僕を
そしてそのまま
「きゃあっ!」
アディソンは僕の持つタリオに押し付けていた
すると僕の肩に喰らいついていたドクロの
僕はドクロを手で
「うぐっ! イッタタタタ……くそっ!」
ようやく僕の首から外れてくれたドクロを僕は思い切り遠くに投げ捨てた。
そしてその間も
タリオの
これを受けた相手は毒の影響でライフが時間の経過とともに少しずつ減少してしまうんだ。
以前にこの特性を利用して僕はリードという強敵と戦うことが出来た。
タリオの毒は呪術性の毒なので、このタリオを装備している僕を倒さなければその毒によるライフの減少は食い止められない。
アディソンは
「
ん?
アディソンの口調が急におぼつかなくなってきた。
見ると彼女の目はトロンとして眠そうだった。
「こ、これは……睡眠導入剤……」
僕は目を見張った。
アディソンのステータスウインドウにはステータス異常を示す『Sleepy』という文字が赤く表示されている。
今、彼女は猛烈な眠気に襲われて意識を失おうとしていた。
何でだ?
いつの間にタリオの
予期せぬ事態に僕は戸惑ったけど、それ以上にアディソンは眠気のせいもあって呆然とした表情で
「ことごとく、こちらの予想を外してくれますね。くっ……
アディソンは悔しげに顔を
た、助かった。
僕の地味さが僕を救ったんだ。
「地味で平凡なあなたのことはどうでもいいと思って調べませんでした」
なぜ二度言うか!
「ですが……ただでは死にません。この私の執念深さを思い知りなさい」
そう言うとアディソンは再度口を大きく開けた。
その口から僕を狙って緑色の毒霧が噴出されようとしていた。
や、やば……。
だけど僕が
そしてアディソンはその場に
そのライフゲージが底をつき、彼女がゲームオーバーとなったことを示していた。
「へっ?」
驚いた僕がミランダのほうを見ると、彼女は新スキル・
その指先から放った
「さて、妹もオネンネしたみたいだし、そろそろお別れの時間ね。あんたのかわいい犬っころたちはもう全滅したみたいよ。死ぬ前に言いたいことは?」
冷然とした表情でそう言うミランダに、キーラは悔しげな舌打ちを響かせた。
僕が周囲を見回すと、すでにキーラの放った魔獣である猟犬たちは2体の魔神に倒されて全滅していた。
「チッ。目的は果たせなかったか。正直、あんたを
そう言うとキーラはニヤリと不適な笑みを浮かべる。
だけどそんな彼女の顔をミランダはつまらなさそうに見据え、肩をすくめた。
「あっそ。最後の強がりね。じゃあもうオシマイ」
ミランダはそう言うと
「フンッ。この私にケンカ売るには実力不足なのよ。おととい来やがれっつうの」
そう言うとミランダは
僕はそんな彼女の姿を
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