第11話 双子の実力
双子の姉妹・キーラ&アディソンを向こうに回してアリアナの戦いが始まった。
双子のステータスを
魔獣使いである姉のキーラが
アディソンのほうが前に出ると、豪快に杖を振り回してアリアナにガンガン攻撃を仕掛けていく。
「ぬぅぅぅぅうっ! 血にまみれて
く、口調がさっきまでと全然違って怖いんですけど。
その顔に似合わぬ荒々しい言葉を口にするアディソンの武器は
そのドクロはまるで生きているかのように口を開けたり閉めたりしていて、その口の中には鋭い牙が生えていた。
き、気持ちの悪い杖だな。
「ハァァァァッハッハッハ! 踊れ踊れぇ! 死ぬまで踊り狂えっ!」
一方のキーラは妹をアシストするように中距離から長く伸びる
粗暴なその性格とは裏腹に、キーラの攻撃は非常に
いきなりの激しい展開に僕は息を飲む。
「あ、あの2人。見た目と戦闘スタイルが真逆だ。でも強い。しかも2人の連携がすごくハイレベルだぞ」
豊富な運動量を誇り、様々な角度から多彩な杖さばきで攻めるアディソン。
そして正確な
この2人の攻撃が見事なまでに絡み合ってアリアナを攻め立てる。
「でもアリアナだって負けてない」
激しいアディソンの連続攻撃をすべて手甲で受け流しながらアリアナは足元を狙ってくるキーラの鋭い
防戦一方に見えるけど、アリアナにはまだ余裕があった。
相手の攻撃を冷静に見極める余裕が。
やがて戦闘が1分を経過した頃、アリアナが反撃に転じる。
アディソンの連続攻撃をかわしながらタイミングを計ると、アリアナは一瞬の
「くうっ!」
思わず体勢を崩すアディソンを見たアリアナは、魔力で一瞬にして右の拳を凍らせる。
アリアナの本領発揮だ!
彼女の得意技である下位スキル・
凍結した拳のすさまじい威力を巧みに
すごいぞ!
僕はアリアナの攻勢に思わず両手を握りしめた。
それでも空中で体勢を立て直したアディソンは地面に着地してすぐに反撃に出ようとする。
「こんなものでは……んっ?」
だけどアディソンの武器・
銀色に輝く先端のドクロも氷の塊に包まれて動かなくなっている。
「チッ! くだらない凍結化能力ごときに後れを取るとは」
アディソンは
「逃がさない!」
アリアナは追撃をかけようとするけど、そんな彼女に向かって赤く光る鳥のような生き物が高速で飛来してきたんだ。
「くっ!」
アリアナは
「きゃっ!」
「アリアナ!」
アリアナは爆風で吹き飛ばされて地面に転がり、ダメージを負ってしまう。
な、何だあの鳥。
生き物じゃないぞ。
「へっへっへ。アタシの
そう言うキーラの声に僕がそちらを見ると、彼女の周囲に赤い光を放つ手のひらサイズの小さな鳥が数羽飛び交っている。
キーラのコマンド・ウインドウに『中位スキル・
「遠慮せずにもっと味わいなっ!」
そう言うとキーラは周囲を飛び交う
危ない!
アリアナはすぐに起き上がり飛来する数羽の
でも
爆弾という物騒な名前通りの危険なスキルだった。
「くぅっ!」
アリアナは
爆風を浴びないよう、かなり距離をとって避けなければならず、その労苦に業を煮やしたアリアナは仕方なく大きく後方に下がった。
そして
これは……。
「
アリアナの両手から無数の氷の刃が放たれる。
彼女の中位スキル・
魔力によって研ぎ澄まされたその刃は鋭く宙を切り裂いて舞い、次々と
「生意気なっ!」
キーラは
「くそっ! やってくれたな」
怒りで顔を
だけどそこで後方からアディソンが声を上げた。
「単純お馬鹿なお姉さま。お遊びもそのくらいになさいませ。そろそろ準備が整いましてよ」
見るとそこではアディソンが、ようやく凍結した氷塊から解放された
その様子を振り返って見たキーラは冷静さを取り戻してニヤリと笑みを浮かべた。
「あいよ。小手調べはこの辺にしておくか」
何だ?
あの双子の余裕な様子は……。
僕は不気味な気配を感じた。
アリアナもそれは同様のようであり、警戒した表情を浮かべて立ち止まる。
そして僕らは感じ取った。
地面が小刻みに揺れているのを。
そして周囲の気温が急激に上昇し始めた。
「何をするつもりっ?」
アリアナが眉を吊り上げてそう声を上げると、双子はその顔に薄笑みを浮かべた。
「哀れな魔道拳士アリアナ。あなたの力はすでに調査済みなのですよ」
「そういうことだ。おまえはもう丸裸も同然なんだよ」
双子の言葉の意味が分からずに僕とアリアナが顔を見合わせると、僕らの前方で暗黒
そして朗々と声を響かせたんだ。
「私の下位スキルを披露いたしましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます