パラレル狂想曲 もう一つの日本!

庵乃 云(アンノウン)

第1話 「国営放送が在る日本とは」

白衣を着た若い女が立っていた・・・

 

「あなたにもう一つの日本の姿を紹介する。こちらの日本とは少し違った道を歩んだものだ。

まぁパラレルワールドだがあなたが行けない以上、私の想像・妄想と呼ばれて仕方が無い。証明できる術は無いのだから・・・ただし、何か楽しめる要素があるかもしれないが・・・・くれぐれも”そちら”と”こちら”を混同しないようにね........。」

優しく微笑むと彼女は陰に消えていった。


インターネットの普及によりTVが大きく衰退した日本、それはこちらも同じ。


ただし!国営放送が存在していた!!!


TVの衰退・・・・・当然といえば当然である。一方的な情報の押し付けのTVに対し、インターネットは求めているものを求める量だけ利用できるのだからTV衰退は至極当然の摂理である。一世代前のTVとラジオの関係でいうラジオの立場にTVは位置することになる。


さて、国営放送が存在と説明したが大まかな流れを説明しておかなければなるまい・・・



こちらでは2つの主要放送局が国民の意に反し続けた為に消滅(事実上倒産状態)。立ち行かない状態に“国がそこに属する地方局”ごと買い取る形になる。

ただし、設備と機材が基本となる。末端のスタッフや一部出演者(カメラマンや機材を扱う人間)は委託業務として外部から雇われている場合もあるようだ(別口で国との直接契約もあるらしい)そして・・・

 


それ以外の人間は”公務員”である



国営放送は新たな財源、政治的にも重要である物の一つを作り出したと言っても過言ではなかった

所得税の延長として、所得のある者全てから徴収(収入度合により増加)で財源の確保を狙う

公務員の採用枠が増え、放送(庁→省)が後から設立される

それにより、放送法は大きく法改正される事となる



”1:日本政府の国営放送以外は全て民放と位置付けしそれ以外の表現は無いものとする。


2:民放が日本国民から料金を徴収する場合はいかなる場合でもスクランブル化が原則とし、明瞭で正確な契約が原則とする。


民放は殆ど広告を打っているので問題ないが一部曖昧な団体があった為に国民に混同せぬ様にと区別してもらうためにハッキリ線引きをしたのである。これを決めるときにかなり荒れた様である。これを国民投票にと、選挙のマニフェストに掲げた議員・政党は同調効果により圧倒的大差で当選し議席を確保したという。


そして国営放送の思惑が二つある


一つは災害時の指示、現場映像、それに伴う現場上空の整理である。

 

地上波を使い、被災地域周辺及び受信可能状態の被災者に指示を出す。国営放送である信頼性を利用し、速やか且つ安定した避難指示出す目的がある。

そして、国営放送なので自衛隊の協力がそのまま反映されるのである。かなり深い位置の被災映像が放送で流れるが民放にも連動して配信できるようになっている。

そして、ある意味人為的な二次災害とまでいわれた問題に国営放送は解決の糸口を見つけ出す。

マスコミのヘリや車両の問題である。

マスコミが押し寄せることにより本来助かる筈の人間が助からなかったり(民放のヘリの音で助けを求める声が聞こえない等)、交通麻痺の余計な二次災害が生じるのを防ぐ為である。

非常事態には現地映像を国営放送から民放に映像を同時配信を約束にマスコミの侵入の制限をコントロールすることに成功(違反した民放には改正された法的罰則がある為、違法行為になる)。

被災中心地から政府が指定した一定範囲が政府救助指定地域とし、危険性が高い為に救助目的の許可された者(自衛隊、海外の軍の支援等)以外の陸海空の侵入を固く禁じている。その周囲を救助支援地域とし、陸路の支援と救助支援目的の空海(主に一時的な侵入を旨とする物資搬入や被災者運搬)以外は控えるように求められている。なので、マスコミは物資搬入を口実にカメラマンを“序でに”乗せて「支援活動」と称し独自の映像を撮っているようだ......

この自衛隊等による救助活動内容が充実する事となる。そして広報官の仕事量が増えた為に枠が増える事となる。



国営放送の思惑二つ目は「政府関係者の発言を歪曲させない」ことである

 


民放の編集により総理大臣の発言の作為的な印象操作が問題視され、それを回避すべく「発言そのままを放送」する放送が狙いでもあった。実際、ネット掲示板ではその差が話題となり民放の信頼度が大きく低下したことがあった。

国営放送はそのまま流せばいい(CMが必要ないので時間も余裕がある)ので編集の手間も減り、発言そのものが流れる仕組みである。 

 

そして、芸能界も大きく揺れる。主な題材は「国営放送に出れるタレントとそうでないタレント」である。国営放送に出れる!それだけでそのタレントは一定の信頼性があることとなり束の間ではあるが安定の収入が約束される。表面上とはいえ「国の放送に出れる綺麗なタレント」としてイメージが出来上がるからである。その為、起用されるよう躍起になるタレントもいるが、枕営業等が使用できない為苦労はしてるようである。


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